航空業界のIT担当責任者にとって、できるだけ低コストでより多くのことを実現したり、仮想化を活用したり、セルフサービスのためのテクノロジの利用を推進するということはいずれも、以前からあった課題と言えるだろう。しかし2010年になって新たな課題が加わった--いかにアップル製品の使いやすさを見習うかということである。
スマートフォンやネットブック>といったハイエンドのガジェットが普及してきたことで、企業の最高情報責任者(CIO)たちの眼前に新たな問題が浮上してきている。その問題は、職場で一般社員が日々使用しているIT機器よりも、彼らが自宅で使っているIT機器の方がより速く、より高性能で、よりユーザーフレンドリーなものとなっているために引き起こされる。
こういった問題は、航空業界ではさらに深刻なものとなっている。というのも、使いやすいハードウェアやアプリケーションに慣れた顧客が航空機の予約や旅行手続きを行う際に、航空会社の非直感的なシステムの使用を余儀なくされるためである。
また、航空機利用客は新しいガジェットの使用に対してより積極的であり、かつそれを使いこなしていることによって、こういった問題にさらに拍車がかかっている--調査分析会社Forrester Researchによると、旅行者は新規テクノロジを、一般的な普及に約18カ月先立って採用しているという。
ブリュッセルで開催された「Air Transport IT Summit 2010」カンファレンスにおいて、Delta AirlinesのCIOであるJay Fredericks氏は「iPadを購入して1週間しか経っていない顧客であっても、航空会社の職員が8年前のPCを使ってホストコンピュータと緑色のテキストを使ってやり取りする間、辛抱強く待ってくれたりはしない」と述べている。
iPadがセルフサービス形式のチェックインデスクに置かれ、顧客がそれを用いて手続きを行うような日が来るとは考えにくいが(導入するには、5歳の子どもによって激しく叩かれるなどの、過酷な使用状況に耐えられなければならないため)、Fredericks氏は現場での「コンシューマーテクノロジの活用が(航空業界にとって)必要である」と考えている。
販売台数が200万台を突破したと発表(訳注:5月31日時点)されているAppleのiPadは、航空会社のIT責任者たちにとって部門が目指すべきコンシューマーテクノロジの基準となっている。
British Airways(BA)のCIOであるPaul Coby氏は同カンファレンスにおいて「iPadをはじめとするタブレットコンピュータによって人々の考え方が大きく変わると確信している・・・彼らはコンピュータの操作が楽しく、簡単なものだと考えるようになってきている。そのことこそがわれわれに突きつけられた課題なのである」と述べている。
また同氏は「GoogleやAppleはコンシューマーアプリケーションというものの基準を押し上げた」と付け加えている。
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