2010年のIT支出は引き続き、2009年よりも増加すると予測されているが、Gartnerは欧州の債務問題により、同社が以前予測したほどの増加は得られないかもしれないと考えている。
市場調査を行う同社は米国時間7月1日、2010年のIT支出予測を、2009年の3兆2300億ドルから3.9%増の3兆3500億ドルに下方修正すると述べた。増加率は、Gartnerの第1四半期の予測である5.3%よりも低下している。同社は、ユーロの対米ドルでの下落の影響を、新しい予測の要因としている。
Gartnerの調査担当バイスプレジデントを務めるRichard Gordon氏は声明で、「欧州諸国の債務危機が、IT支出予測に影響を与えている」と述べた。「2010年第2四半期に米ドルの対ユーロ価値が上昇し、その傾向が2010年後半も続きそうである。そのため、米ドル換算でのIT支出増加率が目減りする見込みである」(Gordon氏)
ソフトウェア、ITサービス、電気通信における支出の増加は、ドルの高騰によってまず間違いなく抑えられるだろうとGartnerは予測する。しかし、2010年のハードウェア支出は、継続的なPC需要に支えられ、9.1%増の3650億ドルになると見込まれている。
Gordon氏は、「コンピューティングハードウェア分野は今後も、堅調なPC分野の恩恵を受ける。PCは、この分野の総支出の3分の2を占めており、PC出荷台数は、2010年と2011年を通して堅調を維持するとわれわれは予測している」と述べた。「消費者向け製品の出荷は、好調なモバイルPCによって今後も牽引される一方で、企業向け製品の出荷は、設備の買い換えサイクルと『Windows 7』への移行に支えられるだろう」(Gordon氏)
Gartnerは、世界経済は安定しつつあるが、主要地域や業界ではまだ衝撃の影響を受けやすい状態にあると述べた。そのため、企業らは購買の決断を逐一検討しており、それによって技術支出は抑えられる見込みである。
「最高経営責任者(CEO)らは、2010年を『成長への回復』の年で、成長戦略を実行する時であるととらえており、最高財務責任者(CFO)はIT支出の増加を見込んでいる」とGordon氏は述べた。「しかし、最高情報責任者(CIO)らに対しては、予算はわずかにしか増加しておらず、支出は基本的なエンタープライズITに限られ、自由裁量の支出は保留されたままである。消費者向け製品の分野では、消費者はまだ失業の不安を抱えているものの、自信を取り戻しつつある」(Gordon氏)
欧州では今後5年間、各国政府が財政赤字を管理し、債務を削減しようとするため、支出は抑えられるだろうとGartnerは予測する。その影響が民間企業にも波及する可能性がある。Gartnerは、全般的な支出、特にIT分野の支出を促進するには、欧州における効果的な政策的対応が必要だろうと主張している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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