市場の要請に応えつつ「人と地球にやさしい情報社会」の実現を目指すNECの研究開発 - (page 2)

 コントローラ上に制御機能を随時開発することで新サービスに対応する最適な機能配備が可能であり、高い柔軟性を実現するという。これにより、資源の稼働率を向上させることができ、最大負荷に依存したシステム設計が不要になるほか、機器設定を自動的に制御することからサービス規模拡大にあわせてのシステム拡張を容易にし、複数スイッチの動作を集中制御することなどによって新サービスの登場に際して運用開始までの期間を大幅に短縮できるとする。

 C&Cクラウド戦略実現に向けた技術のひとつとして、キャリアインフラ、ソーシャルインフラへの展開や、大規模対応および広域仮想化システムへの展開、多種多様なサービスへの柔軟な対応を図るという。なお、OpenFlowコントローラスイッチは、2010年度中に製品化する予定だという。

OpenFlow技術を活用して、柔軟にネットワーク構成変更する OpenFlow技術を活用して、柔軟にネットワーク構成変更する(画像クリックで拡大表示)

生活に密着した認識技術とスマートグリッド関連技術

 パブリックセーフティ事業を支える認識技術は、同社が50年間に渡り取り組んできたパターン認識技術の研究開発成果をもとに開発したもので、照明変動や顔の向きなどの撮影環境の影響を軽減した変動画像生成、眼鏡や経年変化などの変動に対応した多元特徴識別を実現しているという。これを顔検出/顔照合ソフトウェア開発キットの「NeoFace」や、端末不正使用防止ソフト「FaceMonitor」、携帯電話の顔認証技術として採用している。

 今後は、多種大量のメディアセンサ情報の利活用、様々な環境に対応できる認識技術が求められているなかで、低品質な登録、照合画像に対しても頑強な顔認識技術を開発していくとしており、犯罪捜査や防犯用途のほか、店舗やアミューズメント施設でのデジタルサイネージや顧客動向調査、各社機器への搭載などを予定している。

照明変動や顔の向きなどの撮影環境の違いでも本人認証、他人との識別力が高い顔認証技術 照明変動や顔の向きなどの撮影環境の違いでも本人認証、他人との識別力が高い顔認証技術(画像クリックで拡大表示)

 環境・エネルギー(スマートグリッド)事業を支える情報通信技術としては、「エネルギー・センシング・ネットワーク」「エネルギー制御技術」「高エネルギー密度蓄電池」などへの取り組みを紹介した。

 特にエネルギー・センシング・ネットワークでは、分散電源や需要家(一般家庭など)から発信される多様なセンシング情報の処理、低コストな情報センシング機器の提供、管理情報の重要度変更や新規サービスのための情報ルーティングに柔軟に対応するための研究を行っているとした。

 スマートグリッドに活用される多様な情報の中から、日射変動に伴う太陽光発電出力変動情報といったクリティカルな情報を識別し、優先処理してルートを選択する技術や、電力事業者やサービスプロバイダーにおける管理情報の重要度の変更に柔軟に対応する。

 2012年度に向けてはICT、蓄電池、エネルギー制御の基盤技術を構築。2017年度には蓄電池の高性能化、グリッド制御の高機能化により基盤技術のさらなる進化を図るとともに、セキュリティ、プライバシー保護などのNECの研究アセットを最大限に活用することで、スマート社会インフラの構築に必要な技術を確立し、新たなサービスの創出を狙うとした。

エネルギー・センシング・ネットワークのデモ エネルギー・センシング・ネットワークのデモ。ミッションクリティカルな情報を優先して処理し、入手する管理情報の変更にも柔軟に対応できるとした(画像クリックで拡大表示)

 なお、半導体に関する技術開発については、NEC中央研究所では継続的に実施していることを明らかにした。「これまでは半導体素子に利用する材料、微細化に向けた製造技術、回路設計、システム開発といった4点に取り組んでいたが、半導体子会社をルネサスエレクトロニクスに移管したことで、回路設計、システム開発といった部分について、引き続き研究開発を続けている」とした。

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