NECと韓国・サムスン綜合技術院は12月16日、共同提案した顔認識技術が、映像中の登場人物を自動的に探し出す技術として、国際標準規格「MPEG-7」に採用決定し、04年春に発行されることになったと発表した。
NECでは、ユビキタス社会における柔軟でユーザー制約のない人物認識技術の実現を目指し、89年から顔認識技術の開発を行っており、すでに「NeoFace」として商品化していた。今回、こうした技術的蓄積をベースに新規開発した技術を国際標準「MPEG-7」に提案、顔認識技術に関する数多くの提案のなかで、検索精度・速度・データサイズのすべてのベンチマーク項目で最も優れた性能を示し、採用に至った。
採用された顔認識技術は、静止画や動画のなかに写っている人物の顔の特徴を表現するための記述方式で、データサイズが非常に小さく、高速に検索できるのが特徴。映像コンテンツに映っている顔の特徴をメタデータとして記述しておくことで、人物の顔をキーとした映像アーカイブの検索や出演シーンの頭出しを瞬時に実現することが可能となる。
具体的には、顔画像の特徴を表すデータを判別性能が良い特徴から順に選択する、NEC開発の「階層的判別分析法」によって、1つの顔当たり最小253ビットのコンパクトなデータサイズでも顔の特徴を表現する。さらに、この技術に、サムスン綜合技術院が開発した目や口などの顔部品の特徴を抽出する「顔部品特徴表現方式」を追加することで、従来規格に対し、検索誤り率を平均1/8以下に低減するなどの大幅な検索精度の向上を実現している。
今回の国際標準化によって、大量に蓄積した写真やビデオなどのさまざまな映像コンテンツから、人物の顔をキーにして望みのシーンを見つけ出したり、自動収集したりすることが容易に可能となる。また、映像アーカイブの検索システムの構築のほか、家庭用ビデオでの出演者による頭出し機能や監視映像における人物の検索など、デジタル放送やインターネット市場での新しい映像検索サービスを展開していく方針。
なお、「MPEG-7」では、通常のパーソナルコンピュータで100万回/秒の高速なマッチング性能を実現しており、24時間の映像中の顔を1秒程度で検索することができる。
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