富士通は今年6月に、創業75周年を迎えた。同社は、3月から6月にかけての約3カ月間に、3つのグローバル統一メッセージを発信した。
ひとつは、3月に発表した同社初のブランドプロミスである「shaping tomorrow with you」。ふたつめが、このブランドプロミスを視覚的に表現したビジュアルアイデンティティ(VI)。そしてみっつめが、PCおよびワークステーションにおけるグローバルブランドへの統一だ。
いずれも、ブランドおよびメッセージを全世界で共通化することで、統一した富士通のイメージを形づくる狙いがある。「真のグローバルICTカンパニーを目指す」(富士通社長の山本正已氏)という同社が、今後世界に向けてメッセージを発していくにあたっての基盤となる取り組みだ。
ブランドプロミス「shaping tomorrow with you」には、「お客様とともに豊かな未来を創造する」という意味があると同社では説明する。長期的なパートナーシップを大切にし、顧客の成功に貢献していくこと、豊富な経験から培われた現場力で新たな発想を生み出し、顧客とともにICTの力でより豊かな社会を実現していくことを、世界共通の富士通のメッセージに込めたという。
特に「with you」という言葉には、顧客と一緒に成長するという富士通の姿勢が明らかにされている。「for you」でも「to you」でもないところが富士通らしさといえよう。
山本氏が「これから迎えるクラウド時代こそ、お客様と一緒になって新たな価値を創出し、ともに成長していくことが必要。スピード感を生かして、お客様のひらめきを形にするためのお手伝いをしたい」と言うように、shaping tomorrow with youは、クラウド時代の富士通の姿勢を示したものといえるかもれない。
富士通には、「夢をかたちに」というキャッチフレーズもある。別の見方をすれば、それをグローバルで訴求できる形にし、より今の時代に合わせた言葉にしたものといえるかもしれない。6月18日以降、同社社員の名刺にも順次、「shaping tomorrow with you」の文字が刷り込まれることになるという。
2つめの新たなVIは、shaping tomorrow with youをビシュアル化したものだ。今後、富士通が作成するカタログや看板、また経営層や社員が使用するパワーポイントプレゼンテーションについても、このビジュアルアイデンティティを使用した、統一的な図柄が用いられることになる。
ブランドプロミスを実践する上で最も重要なコンセプトと位置づけられる「お客様との対話」を象徴した吹き出しにも見える意匠は、FUJITSUの「F」の文字の先端部分からデザイン化したという。さらに、富士通のコーポレートカラーである赤を基調として、使用される文字は「Fujitsu Sans」と呼ばれる独自のフォントを用意した。
山本氏は、「吹き出しのようなデザインは、対話(=ダイアログ)を意味するものであり、立場の違う二者が目的を持って話し合うニュアンスを持たせた。今後、この新デザインを世界中で展開し、お客様とともにという富士通らしいメッセージを全世界に発信していく」と語る。
そして、3つめがPCおよびワークステーションにおけるグローバルブランドの統一だ。
富士通では、日本国内で15年以上に渡って使用してきたコンシューマーデスクトップPCの「DESKPOWER」、コンシューマーノートPCの「BIBLO」の使用をやめて、海外で使用しているデスクトップPCの「ESPRIMO(エスプリモ)」、ノートPCの「LIFEBOOK(ライフブック)」に統一する。ワークステーションについても、「CELSIUS(セルシオス)」に一本化する。
同社では、富士通のPCが目指す「ライフパートナー」の実現に向けて、多くの時間、様々なシーンで富士通のPCを利用する際に、個人向けと企業向け、また日本と海外でもブランドを統一していくのが最適だと判断したと説明している。
LIFEBOOKには、顧客のライフパートナーとして、個人から企業のユーザーすべての生活を傍らで支えるという意味があるとする。またESPRIMOは、機知に富んだことを意味する「ESPRIT」、表現するという意味を持つ「EXPRESS」、最高を意味する「PRIME」を組み合わせた造語で、「最高品質のPCを提供する」という意味を込めた。また、CELSIUSは、英語で「摂氏」を意味する言葉で、過酷な温度状況下でも動作する高い耐久性をイメージしたという。
こうしたグローバルブランド展開の相次ぐ動きは、富士通のグローバル戦略を加速するための地盤づくりにつながるものだ。山本氏は、「富士通にとって最大の課題はグローバルでいかに成功させるか。社員のすべての発想の起点をグローバルに置く必要がある」と語る。グローバル起点の発想を社内に植え付けるという意味でも、この3つの取り組みは、今後大きな意味を持つことになるだろう。
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