この点について丸山氏は、ライセンスなどの面で考えれば将来的にはAndroidが優位に立てるだろうと語っている。オープンなOSであるAndroidは多くの企業の参入を促すことができ、新しい魅力的な端末が登場しやすいからだ。その一方でマーケティングのうまさに関してはAppleが大きく勝っており、Android陣営にとっても学ぶべき点も多いだろうと分析している。
では、携帯電話やタブレットPCなどがメディアに与えるインパクトとはどのようなものになるだろうか。丸山氏は、「20世紀初頭はMulti-Mediaが登場した時代であり、それに対して21世紀初頭は『Uni-Media』の時代になる」と語っている。すなわち、グローバルなインターネットが発展し、様々なメディアがその上で統合されていく時代である。携帯電話やタブレットPCに代表されるクラウドデバイスの登場が、このようなグローバルなメディア統合をはじめて技術的に可能にしたのだという。
そのような傾向を示唆する出来事は、すでに各所で目にすることができると丸山氏は説明する。例えば、GoogleやMicrosoftをはじめとするクラウドプレイヤーはすでにネットワークメディア産業へのシフトを進めており、逆にネットワークメディア産業を主力としてきたAppleでもApple Cloudと呼ばれるクラウドの準備を始めている。
インフラだけでなくメディア側の対応も進んでいる。音楽に関してはダウンロード販売の売上がCDの売上を上回る勢いであり、書籍に関しても電子書籍が大いに注目を集めている。その他にも電話の役割を担うGoogle Voiceや、ラジオ放送のサイマル配信を行うradikoの登場など、既存メディアの代替となる新しいネットワークメディアが次々と登場している。テレビについても、先ごろGoogleがGoogle TVを発表したばかりである。
上記に加えて、21世紀は新しいパーソナルメディアが登場し、メディアの中で大きな役割を果たす時代でもあると丸山氏は付け加えている。TwitterやFacebookなどといった新しいコミュニケーションツールが驚くべき勢いで成長していることがそれを裏付けている。こうした変化も、クラウドとクラウドデバイスの登場によってはじめて可能になった。
このように大きな変化のただ中にある今は、「何のために我々がIT技術に取り組んでいるのかを考え直すいい機会」(丸山氏)であるとのこと。
「IT技術を動かすドライビングフォースは何でしょうか。それは間違いなくコミュニケーションと情報共有です。IT技術はこれらの手段として生きてくる。IT技術の革新は、クラウドとクラウドデバイスを中軸としたメディアのネットワークの中でさらに活発化するでしょう。その中でAndroidは、オープンなプラットフォームとして一層活躍していくだろうと思います。今後もますます伸びていくと思うので、みんなでがんばって盛り立てていきましょう」(丸山氏)
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