IDC Japanは6月16日、2009年における国内仮想化ソフトウェア市場規模実績と2014年までの市場規模予測を発表した。これによると、2009年の国内仮想化ソフトウェア市場規模は、対前年比11.8%増の287億400万円となった。2009〜2014年の年間平均成長率(CAGR)は15.7%で成長し、2014年には595億円に達する見込みという。
IDCでは、仮想化ソフトウェア市場を、「バーチャルマシンソフトウェア」と「アプリケーションおよびユーザーセッションバーチャライゼーションソフトウェア」の2つの市場から構成されると定義している。バーチャルマシンソフトウェアは、一般的にはハイパーバイザとして知られているもので、サーバ仮想化やデスクトップ仮想化を実現する。アプリケーションおよびユーザーセッションバーチャライゼーションソフトウェアは、アプリケーションの仮想化もしくはユーザーセッションの仮想化を通して、アプリケーションとユーザーのデスクトップ環境間の結びつきを最小限にすることによって、アプリケーションの管理を簡素化するソフトウェアを指す。
2009年の国内バーチャルマシンソフトウェア市場は、前年比21.8%増の139億円となった。景気後退によるIT投資の縮小により、2008年で記録した50%以上の成長とはならなかったものの、即効性のあるコスト削減ソリューションとしてのサーバ仮想化の需要は依然として高く、20%以上の高い成長を維持した。IDCでは、2009〜2014年のCAGRは20.5%、2014年には354億円に達すると予測。今後、バーチャルマシンソフトウェアの導入が地方企業や中堅中小企業など広範囲に拡大していくとみている。
一方、国内アプリケーションおよびユーザーセッションバーチャライゼーションソフトウェア市場は、2009年で対前年比3.8%増の148億円となった。Windows Serverのリモートデスクトップサービス(旧ターミナルサービス)を使用したプレゼンテーション仮想化の案件が、金融や公的機関、教育機関での限定的な導入にとどまり、景気の影響もあったことから一般企業への展開はあまり進まなかったためとIDCでは分析している。今後は、クライアントPCの更新と合わせた情報漏えい対策ニーズが市場を促進すると見られ、2009〜2014年のCAGRは10.3%、2014年には241億円に達する見込みという。
これら2つの市場を合わせた国内仮想化ソフトウェア市場は、2009年で287億円、2014年には595億円に達するとIDCでは予測している。
IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティマーケットアナリストの入谷光浩氏は「サーバからクライアントまで仮想化ソフトウェアの適用範囲は拡大しており、ユーザー企業もプライベートクラウドなどIT基盤の仮想化の検討を進めている。しかし、現段階においてサーバ仮想化とクライアント仮想化は個別にソリューションが展開されているケースが多く、ユーザー企業にとっては過剰な投資が強いられることも少なくない。ITベンダーは、サーバとクライアントの仮想基盤の共通化、運用管理など、周辺ソフトウェアの統一を図ることで、シンプルかつ効率的な仮想化ソリューションを展開していくことが必要だ」とコメントしている。
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