SAPジャパンは2009年9月にユーザー企業のIFRS対応を支援するために「IFRS支援室」を設立している。室長の桐井健之氏によれば、日本企業のIFRS対応は昨夏より動きが出始めていたという。現段階では、この4月から本格的なIFRSプロジェクトを立ち上げていたり、株主総会後の6〜7月にプロジェクトを立ち上げたい意向を示す企業があるなど、具体的な対応が進んでいることが見てとれる
IFRS対応策の事例として、桐井氏は韓国のサムスン電子グループの事例を取り上げている(先日開催されたSAPのプライベートイベント「SAPPHIRE NOW 2010」でサムスン電子の情報システム子会社Samsung SDSが講演した)。韓国ではすでにIFRSの強制適用されているが、サムスン電子はIFRSへの対応を違った形で済ませているという。それは、サムスン電子としてグローバルシングルインスタンスの形態を取っているという形だ。
サムスン電子では、新しいビジネス戦略として“市場中心ビジネス(Market Centric Business)”を掲げ、市場から求められるものを開発するという戦略を打ち立てている。この戦略では、市場の需要にあわせていかに製品を開発するかということが課題になっていたという。そうした問題意識のもとで、サムスン電子は“多国籍企業”から“グローバル企業”へと生まれ変わることを目的にしている。つまり、各国の拠点がバラバラに行動するのではなく、一つの企業という意識のもとに各国の拠点が活動するというものだ。
市場の需要にあわせた製品を開発するという課題、そこから生まれたグローバル企業という意識の中でサムスン電子が辿り着いた答えが、オペレーションの最適化という選択肢だった。その選択肢からは素早い実行力、グローバルで統一された財務レポートが求められる。その具現化が、統合基幹業務システム(ERP)のグローバルシングルインスタンスというものだ。つまり、各拠点でバラバラに活用していたERPを統一するという選択肢である。
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