5月末から6月初旬にかけて、業界団体や調査会社から、相次いで国内のサーバ出荷統計が発表された。各調査結果をみると、IAサーバ市場は2009年度下期に回復の兆しを見せはじめており、企業のIT投資意欲が回復基調にあることを示すものとなった。
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2009年度(2009年4月〜2010年3月)のサーバ、ワークステーションの国内出荷実績によると、IAサーバの出荷台数は、前年比1%減の31万3097台、出荷金額は前年比16%減の1943億6200万円となった。そのうち、ブレードサーバは、前年比14%増の3万8340台となった。同調査は、メーカーによる自主統計であり、推定値が一切含まれない実績値である。ただし、デル、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)などが参加していないため、市場カバー率は90%を切るものとなっている。
2009年度上期におけるIAサーバの出荷台数は前年比12%減の13万5981台とマイナスだったが、下期は前年比9%増の17万7116台と前年実績を大きく上回る結果だ。JEITAでは、「IAサーバが回復基調に転じるのは2010年度からと予測していたが、2009年10月以降、明確な形で回復しており、通期の出荷台数はほぼ前年並みになった。特にブレードサーバは、上期、下期ともに前年実績を上回り、IAサーバ市場を牽引している。下期以降、 IT投資意欲が戻ってきているとの実感がある。クラウドコンピューティングによる新たなサービスへの対応に向けたサーバ投資や、最新サーバでの消費電力の低下といった環境の観点からリプレースするという動きもでている。サーバ統合によって市場が縮小するのではという見方もあるが、こうした新たな動きが出ていることで、市場がシュリンクするイメージはない」と分析している。
2010年度以降については、「企業のIT投資は緩やかに回復すると期待している」として、IAサーバの台数および金額は、2012年度までいずれも伸長すると予測。2012年度におけるIAサーバの需要予測は、台数で35万7278台、金額で1992億400万円とした。Unixサーバからの移行や企業のコストダウン、IT投資効率化の動きのなかで、サーバ統合、仮想化、省スペース化の要望が高まることによってブレードサーバの導入が進行すること、クラウドコンピューティングの進展に伴う、新サービス対応に向けたサーバ導入の需要拡大などを予想している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」