今回のリストラは、スキルと戦略をリセットし、事業セグメントを整理するためのものだ。具体的に言うと、われわれが社内でセキュリティや運用管理といった製品ごとに部署分けをしたとしても、顧客にとってこれらはトータルに考えるべきものなのだ。だからCAでもスキルベースをシフトさせなくてはならなかった。
つまりわれわれも、部署ごとに製品を提供するのではなく、顧客の立場に立って製品を提供しなくてはならない。今回のリストラはこうした戦略に合わせるためのものであって、多くの企業が行っているようなコスト削減によるレイオフではない。そのため、人員を削減したものの、新しいスタッフの雇用も同時に行っている。
IT業界の全体的な成長率は6~8%程度だが、仮想化やクラウド環境の運用管理分野では2ケタ成長となっている。これはCAにとって大きなチャンスだ。なぜならCAは、過去30年以上も運用管理の分野で技術を提供しており、それをクラウド環境にも拡大させていくからだ。
CAの強みは、純粋なソフトウェア企業であることだ。これからもその立場は崩さない。例えばIBMの仮想化ソリューションはすばらしいソリューションかもしれないが、サポートするプラットフォームもIBMのものとなる。しかしIBMのプラットフォームのみを利用している顧客は少ないだろう。多くの企業はさまざまなプラットフォームを混在させた環境でシステムを利用しているのだ。
だからこそ、クロスプラットフォームをサポートするCAが選ばれる。CAの製品は、ソフトウェアのプラットフォームがMicrosoftでもRed Hatでも、ハードウェアのプラットフォームがIBMでもHewlett-Packardでも関係なくサポートする。すべてのプラットフォームをサポートすることがCAのビジョンであり、純粋なソフトウェア企業であり続ける理由だ。
私はこの業界で45年間仕事をしているが、業界の動きはとても速く、3年や5年はすぐにやって来る。ただ確実に言えるのは、クラウドがスタンダードになっているということだろう。その後はさらに新しい技術が登場するだろうし、どうなるかはわからない。大切なことは、ITが常にビジネスにとって重要な地位を占めるということだ。
約1年前に企業のCIOを集めて話したことがある。CIOは、BIO、つまりビジネスインフォメーションオフィサーになれと。戦略の一部となって、ビジネスを変えていかなくてはならないのだ。新しい技術の恩恵を受けるのに何年もかかっているようではだめだ。ビジネスモデルも競合も常に変化し続けているのだから、月単位や週単位で動くべきなのだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来