Xeonアーキテクチャはデータセンター全体に拡張される--インテルVPが語るプロセッサ戦略

 米Intelの副社長兼データセンター事業部長であるKirk Skaugen氏が来日し、5月25日、「Xeonプロセッサー 5600番台」や「Itaniumプロセッサー 9300番台」といったエンタープライズ市場向けの最新製品に関して説明を行った。

 Skaugen氏は、「現在は1日あたり100万台のPCが出荷されているが、2015年には3倍となる年間10億台のPCが出荷され、25億人のユーザーが使用するようになる。また、IPアドレスを持った150億台のデバイスがネットワークに接続されるようになり、データ量は650%も増加することになる。こうした世界を考えた場合、今の経済性では問題が発生する。エネルギー効率の問題、セキュリティの問題、管理の問題などが出てくる。将来に向けて、Intelはデータセンターにフォーカスする上で、効率性、簡素化、セキュリティ、オープンという点から進化を遂げていく」とする。

 効率性という点では、前提として2009年に投入した「Xeon 5500番台」による「Nehalem効果」があるとする。これは、従来のシングルコアのXeonと比べた場合の9対1の統合比率が生み出す、低消費電力化や冷却効果などによるものだ。Skaugen氏は、これにより電力コストを90%程度削減でき、8カ月で投資を回収できるようになるという。さらに230におよぶOEMソリューションがすでに提供され、2009年第4四半期にはその約9割がXeon 5500番台に移行したことなどを紹介した。

 また、「Xeon C5500/C3500」では、ストレージ用という新たな提案を行い、サーバに加えて、ストレージによるデータセンター全体の高性能化、効率化を図れるようになったとする。「これにより、かつてない経済的価値をデータセンターにもたらすことができる」という。

 そして、Skaugen氏は「Xeonプロセッサー 5600番台」により更なる価値を提供できる点を強調する。

 「電力効率の向上により、消費電力は最大30%削減できる。また、パフォーマンス面でも最大60%の向上が期待でき、その意味でのリーダーシップを確保している。仮想化にも安全に対応することができ、電力効率が高く、安全なデータセンター基盤を作ることができる。シングルコアのXeonでは15ラックで構成されたシステムが、5600番台を使用することで、1ラックで構成することが可能になる。電力コストは年間95%削減でき、5カ月でこの投資を回収できる。仮想化の効果を加味すれば、2カ月で投資回収できる可能性もある。日本は電力価格が高いため、その効果はさらに大きいだろう」(Skaugen氏)

 Xeonプロセッサー7500番台に関しては、「Xeon史上、最大のパフォーマンスの飛躍を実現した。私がIntelに入社して18年間で、これだけ大きな飛躍は例がない」とし、「x86サーバとワークステーションでは30を超す世界新記録を達成。しかも、5%や10%といった性能向上ではなく、100%、200%という驚くべき向上を遂げている」と、そのパフォーマンス面での向上をアピールした。

 Itaniumプロセッサー 9300番台については、「第7世代のItaniumであり、最先端のスケーラビリティ、優れた仮想化機能、インテリジェントな電力効率を実現する」と語り、RISC、メインフレームの市場は台数ベースではわずか5%だが、金額では160億ドル規模となっており、そこがビジネスチャンスになるとした。そして、「Itaniumはこれからも2年ごとに進化を遂げ、性能は倍増する。65nmプロセスから、45nmプロセスを飛び越えて、32nmプロセスに一気に移行する」と今後もItaniumの強化に取り組むことを明言した。

 さらに、今後はXeonアーキテクチャをデータセンター全体に拡張していくとして、これまでのサーバ向けの展開に加え、既に約70%というストレージ分野でのシェアを、2011年には80%にまで拡大するとしたほか、ルーティングやスイッチング分野、医療や軍事分野などにおける組み込み機器での採用が増えており、今後も推進していくことを示唆した。

 また、サーバ、ラック、データセンターの各レベルで動的に電力管理が可能な「インテル・インテリジェント・パワー・ノード・マネージャー」および「インテル・データセンター・マネージャー」を標準で提供している点や、9つの接続ケーブルが必要だった1Gビットイーサネットから、2つの接続ケーブルで済む10Gビットイーサネットへの移行を図ることで、2015年までに10億マイルのケーブルが削減できるようになるなどといった観点での「簡素化」への取り組みについても触れた。

 合わせて、セキュリティポリシーに基づいてサーバの移行を実現する「インテル・トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー」により、「マルチテナント環境下でのサーバ移行に威力を発揮し、仮想化環境においてセキュリティの観点から強固な基盤を構築できる」としたのに加えて、Oracle Database 11gでは、暗号化と複合化で89%もの高速化を図れることを示し、「暗号化パフォーマンスを強化することで、次世代セキュリティ基盤を構築できる」と語った。

Kirk Skaugen氏 Xeonプロセッサー 5900番台(左)とItaniumプロセッサー 9300番台を掲げる米Intel、副社長兼データセンター事業部長のKirk Skaugen氏

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