IDC Japanは5月25日、国内SOAおよびBPMソフトウェア市場の動向を発表した。調査結果によれば、2009年のSOA/BPMの市場規模は214億2700万円で、前年と比較して4.6%縮小した。
2009年はSOAソフトウェア市場とBPMソフトウェア市場のいずれにおいてもマイナス成長となった。IDC Japanではその原因を、IT投資の抑制の影響を受けたことと分析している。今後も市場低迷は継続し、2011年に回復基調へと転じるとしているが、市場成長のスピードは緩慢で、国内の同市場の2009年〜2014年における年間平均成長率は3.6%、2014年の規模は255億8700万円と予測している。
なお、SOA/BPMソフトウェアを提供するミドルウェア分野では、ベンダーの集約化が進行しているという。市況は活発さこそ欠いたが、製品ラインアップを継続的に充実させたIBMがSOAおよびBPMソフトウェア市場の両方でベンダーシェア首位を占める結果となった。
IDC Japanが実施したユーザー調査では、何らかの形でSOAに取り組んでいるユーザー企業は1割に満たないなど、導入実績は足踏み状態が続いている。その中で、経営の俊敏性や変化への柔軟性の向上といったSOA/BPMの利点は大企業にとって大きいため、その取り組みは中堅中小企業よりも大企業が先行しているという。一方、経営課題を解決する手段として、必ずSOAを選択するとの回答は約1割。IDC Japanでは、中長期的な価値よりも安価なソリューションを選択する傾向がみられると説明している。
IDC Japanでソフトウェア&セキュリティのシニアマーケットアナリストを務める冨永裕子氏は、「SOA/BPM実装が拡大する上で最も大きなボトルネックとなっているのはコストであり、全体最適化のための総投資額は大規模なものになることが嫌気されている。また、SOA/BPMソフトウェア市場のプレイヤーは、ミドルウェアベンダーが多数を占めるため、IT部門以外との販売接点の確立に成功している企業は非常に少ない。経営課題の解決を支援するコンサルティング力までを含めた包括的なサービス提供体制を整備できるかが、多くのベンダーにとって成長の突破口を見つけ、競争優位性を築くための課題となる」と分析している。
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