今回明らかにされたハイエンドコンピューティングへの取り組み拡大では、科学者や技術者、データアナリストに向けて、新しいタイプのソフトウェアを開発することが主な取り組みの1つとなっている。「この開発努力によって、データ収集、モデリング、シミュレーション、仮想化、ワークフロー、コラボレーションを自動化するための使いやすい新ツールや新アプリケーションが生まれるだろう。そうなれば、複雑なテクノロジと格闘する時間は減って、より多くの時間を本来の仕事に割けるようになる」とMuglia氏は語る。
もう1つの重要な取り組みは、コンピュータ業界全般、なかでもとくにハイエンド分野を対象としたもので、複数のPCやサーバ、プロセッサコアによってタスクを同時に並行して処理できるように、ソフトウェアの書き方をシフトさせることだ。
「現在市場に出ているコンピュータは、マルチコアを搭載するなど、かつてないほど強力な処理能力を備えている。しかし、今のソフトウェアの多くは、使用できる処理能力のごくわずかしか活用していない。パラレルプログラムは、作成するのも、テストをするのも、トラブルシューティングを実施するのも、非常に難しい」とMuglia氏は述べる。
Microsoftの新しい取り組みでは、高い処理能力が必要な作業をWindows Azureのようなクラウドベースのシステムにどの程度移行できるかを調べることも目的とされている。「高性能コンピューティングを利用している既存ユーザーにとって、『ジャストインタイム』での処理を可能にするクラウドリソースで、自社内システムの機能を拡張できることは有益だろう」とMuglia氏は言う。
この18カ月間、テクニカルコンピューティング担当の新チームは、HPC Serverに対する取り組みのほか、「Visual Studio」にパラレルコンピューティング機能を加える作業にも取り組んでいる。将来はさらに幅広い分野に目を向けていくことになるだろう。Hilf氏によれば、次の会計年度には、デスクトップ、クラスタ、クラウドなどさまざまな構成で実行可能なモデルを作成できる、開発者向け製品のデモやベータ版の提供を行う予定だという。
また、Microsoftは、開発者向けツールだけでなく、業界を超えて科学者が共通に必要としている、包括的で横断的なツールの提供も視野に入れているとHilf氏は言う。
「当然のことだが、特定業界だけに向けたソフトウェアを扱うつもりはない」とHilf氏は述べ、Azureで動作する「Excel」やアドオンの開発、さらにはまったく新しいプログラムの開発を行う可能性はあっても、たとえばガス業界や石油業界といった、特定の業界に特化したプログラムを作成することはないと語った。「世界中のSchlumbergerは、今後も変わらず重要なパートナーだ。彼らに対するわれわれの役割は、利用できるプラットフォームを提供することにある」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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