「Google Book Search」をめぐる著作者や出版社との和解はまだ宙に浮いた状態だが、Googleは販売の許可を明示的に得ている著作を販売するデジタル書店を、2010年の夏に立ち上げる計画を進めている。
「Google Books」の戦略パートナー開発マネージャーであるChris Palma氏の発言を引用した米国時間5月4日付のThe Wall Street Journal(WSJ)の報道では、この書籍販売サービスは「Google Editions」といい、6月後半または7月からウェブサイトを通して電子書籍の販売を行うと伝えている。この動きにより電子書籍の出版社に新たな流通チャネルが生まれ、Amazon.comやAppleにとっては、新興の電子書籍市場に新しい競争相手が登場することになる。
Googleは2009年にパブリックドメインの書籍をEPUBフォーマットで無料提供する計画を発表している。WSJの報道では、Google EditionsでGoogleが当初販売する絶版ではない書籍に、どのフォーマットが採用されるのかは明示されていない。
あるGoogle関係者は、2010年の中ごろにGoogle Editionsを立ち上げる計画であることは認めたが、より詳細な時期は明らかにしなかった。
電子書籍の販売におけるGoogleのアプローチについて、AmazonやAppleとの重大な違いを1つ挙げるとすれば、Googleのストアでは電子書籍を購入してもダウンロードすることができない点がある。アクセスはウェブブラウザに限定されるのだ。この方式をとることで、Googleにとって好都合なポイントがいくつかある。まず、デジタル著作権管理(DRM)の煩わしい問題を回避できる。また、1件1件につき条件交渉をすることなく、どんなデバイスにもサービスを提供できる。
ただ、そのためにはGoogleがオフラインの読書に対応したGoogle Editionsモバイル版を作る必要がある。また、ユーザーが購入した書籍を手元に置いておけないとなると、価格設定も他のサービスとは違ったものになるだろう。Google Editionsにおける価格構成についてGoogleはコメントを拒否しているが、同社のDan Clancy氏は4月26日付の雑誌The New Yorkerの記事で、価格は書籍の出版社に決めてもらうことになるだろうと語っている。
現時点でGoogleに販売が認められているのは、出版社と頒布権について交渉が済んでいる書籍と、パブリックドメインの作品だけだ。書籍の著者や出版社の団体との包括的な和解案が承認されれば、さまざまな議論を呼んだ、絶版だが著作権で保護されている書籍を販売する権利をGoogleが手にし、その売り上げが権利者に分配されることになるだろう。
和解案は現在もニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所でDenny Chin連邦判事の管理下にある。Chin判事はこのほど、連邦第2巡回区控訴裁判所の判事に任命された。Chin判事は新しい役職に就く前に前職での案件を完了させるため、この和解案についてもまもなく決定を下すものとみられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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