Adobe Systemsの経営幹部が日本に勢ぞろいし、4月22日に事業戦略を説明した。会見の席上、同社クリエイティブソリューション事業部門担当上級副社長兼ゼネラルマネージャーのJohn Loiacono氏は、iPhone向けFlash生成機能「Packager for iPhone」への投資を打ち切ることを明らかにした。(関連記事「AppleのFlash締め出しは「コンテンツ配信を難しくする」--Adobe経営陣が来日」)
ZDNet Japanは前日の21日、Loiacono氏にインタビュー取材を行っており、その場でもAppleのFlash対応が話題となった。本稿ではAdobe CS製品群のビジネスを統括するLoiacono氏が語ったAppleへの思いを紹介する。(関連記事「Adobe CS5のコンセプトはワークフローの改善--アドビ幹部が説明」)
現在のAdobeの戦略を語る上で、Appleとの関係に目を向けないわけにはいかない。この点についてLoiacono氏は「Appleは競争相手でもあり、良きパートナーでもあります。これは今までもそうでしたし、これからも変わりません」と強調している。
Adobe CS5のMac版が同時にリリースされることからもわかるように、全ての面においてAdobeとAppleが対立しているわけではない。しかし、ことモバイルプラットフォーム戦略においては、AppleはFlashの締め出しに躍起になっており、対立の構図はますます明確になりつつある。Loiacono氏は次のように続ける。
「Appleは閉鎖的なエコシステムの上でビジネスを成立させようとしているため、他社製品の締め出し自体は驚くべきことではありません。過去にはPCでも同じ状況が起こりましたし、モバイル分野でも新しい事件ではないのです。ただ、Adobeの戦略がAppleとは異なるというだけなのです。私たちの仕事は、コンテンツをより作りやすくすること。そして、それをあらゆるデバイスで動くようにすることなのです――PCでも、スマートフォンでも、テレビでも、もちろん可能であればAppleのデバイスでも、です」(Loiacono氏)
同氏の言うように、Flash CS5にはFlashアプリをiPhone用ネイティブアプリに変換する「Packager for iPhone」という機能が用意されている。しかし残念ながら、iPhone OS 4 SDKのライセンス規約の変更を受けて、この機能への投資が打ち切られることになった。
Flashの扱いを巡るAppleとの関係は予断を許さない状況だが、マルチデバイス、マルチプラットフォームに対するAdobeの姿勢は変わっていない。今後もAndroidなどを中心としたオープンなデバイスへの取り組みを強化していくとのことである。
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