Apple製「iPhone」のプロトタイプと思われる品物に対し、ガジェットブログのGizmodoが金銭を支払った件で、警察当局が捜査のためGizmodo編集者の所有するコンピュータやサーバを押収していたことがわかった。
Gizmodoが米国時間4月26日に認めたところによると、サンマテオ郡保安官事務所によって23日に令状が取得され、同日夜、カリフォルニア州フリーモントにあるGizmodo編集者Jason Chen氏の自宅が家宅捜索されたという。
米CNET Newsは23日付けの記事で、iPhoneのプロトタイプおよびGizmodoがそれを入手した経緯をめぐる強制捜査の開始について最初に報道した。サンマテオ郡の判事が捜査令状に署名したのは、その数時間後だった。
Chen氏は次のように語っている。「家に帰ると、ガレージのドアが半分開いていることに気づいた。ドアを開けようとすると警官が出てきて、家屋および『管理下にある』敷地内の車すべてに捜査令状が出ていると告げられた。それから、両手を頭の上に置くように命じられ、武器や刃物を持っていないことを確認する身体検査を受けた」
報道の自由を求める記者の組織であるThe Reporters Committee for Freedom of the Press(RCFP)のエグゼクティブディレクターLucy Dalglish氏は26日、CNET Newsの取材に対し次のように述べた。「これは、きわめて明白に州法と連邦法に違反する行為で、驚きに声も出ないほどだ。このあと当局がすべきことといえば、すべてのものを即刻返却して、全面的に謝罪することしかない」
Dalglish氏によれば、サンマテオ郡の捜査令状は連邦政府の1980年プライバシー保護法(The Privacy Protection Act of 1980)に違反しているという。同法により報道機関は、報道関係者自身が犯罪に関わっているような場合を除きかなりの範囲にわたって、捜査を受けることはないとされている。また、同法では警察に対して、捜査令状ではなく、召喚状による情報収集を定めているとDalglish氏は語っている。
Gizmodoは、26日掲載の記事で次のように述べている。
23日夜、カリフォルニア州のコンピュータ犯罪特別捜査班Rapid Enforcement Allied Computer Team(REACT)が編集者であるJason Chen氏の不在時に自宅に入り、4台のコンピュータと2台のサーバを押収した。サンマテオ郡高等裁判事による捜査令状に基づいて行われた捜査だった。しかし、Gawker Mediaの最高業務責任者(COO)Gaby Darbyshire氏は、コンピュータを押収したこの捜査令状について、カリフォルニア刑法1524条g項の下では無効だと述べている。
Darbyshire氏が言及している法律は、新聞、雑誌、「その他の定期刊行物」の記者を対象とした捜査令状に判事が署名するのを防ぐカリフォルニア州の法律である。
カリフォルニア州の控訴裁判所は2006年、「定期刊行物」の定義によりウェブログが保護されるという判断を下している。同裁判所は、「公開されるウェブサイトを運営する者は、その言葉の意味において『パブリッシャー』である(中略)ニュースに特化したウェブサイト(中略)はその目的において新聞や雑誌と確かに『同じ』だということに疑いの余地はない」と結論づけている。
Gizmodoが掲載した書類によれば、警察が押収したものは、Apple製ノートブック3台、サムスン製デジタルカメラ1台、Seagate Technology製500Gバイト外付けハードドライブ1台、USBフラッシュドライブ2個、「HP MediaSmart Server」1台、32GバイトのApple製「iPad」1台、16GバイトのiPhone1台、IBM製「ThinkPad」1台などだった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス