新興市場でクラウドコンピューティング関連銘柄の人気が爆発している。データセンターを運営するマザーズ上場のさくらインターネット、ヘラクレス上場のブロードバンドタワー、ビットアイルが連日活況。さくらインターネット株は年初、4万円台で推移していたが、4月12日には値幅制限いっぱいまで買い進まれて2008年4月以来、2年ぶりの株価10万円台乗せを達成。ブロードバンドタワー株も2月前半の3万円台から直近で11万円台まで暴騰している。
クラウドコンピューティングは株式市場でも一種のバズワードとなっている。これまでソフトウェア関連企業が通常のサービスとして提供してきたASPやSaaSとの明確な定義分けが行われておらず、物色のテーマとしては存在感が薄かった。株式市場はIT、ネットサービスの最新事情に疎い傾向があるにしても、ここにきての突然の人気化は不自然。この背景にはテーマ株ファンドの設定がある。
野村証券系の野村アセットマネジメントが3月、新商品として「野村クラウドコンピューティング&スマートグリッド関連株投信」を設定する。太陽光発電や風力発電など新エネルギー関連の送電技術として株式市場で大注目されたスマートグリッドとともに野村アセットマネジメントのテーマ株ファンドの投資対象となることで、クラウドコンピューティングが一気に注目を集めた格好だ。
新興市場に上場するデータセンター3社の中で明確にクラウドコンピューティング関連ビジネスへの注力を示しているのはビットアイル。3月にはデスクトップ仮想化ソリューションなどを手掛けるシトリックスと協業。独立系ソフトウェアベンダーやシステムインテグレーターといった企業ユーザーにソフトウェアソリューションを提供するという、IT事業者のクラウドコンピューティング対応支援を発表。証券アナリスト向けの決算説明会の席上でも会社側がクラウドコンピューティング関連ビジネスへ注力する方針を示していた。
一方、皮肉にも足元で株価の上昇率が大きいさくらインターネット、ブロードバンドタワーは株式市場に向けてクラウドコンピューティングビジネスへの明確な方針を示しているわけではない。さくらインターネットに関しては1月末に発表した業績計画の上方修正のほうが直接的な株価動意のきっかけとみられていたほどだ。
これまで一部の市場関係者しか注目していなかったクラウドコンピューティングだが、投資信託の設定を受けてテーマとして注目を集めることとなった。実際の投資信託設定にともなう買い需要は限定的とみられているが、ソフトウェアや関連ビジネスなどデータセンター以外にも関連銘柄のすそ野は広く、物色テーマとしてのスケールが大きくなっていく可能性はありそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」