デジタルガレージの株価が3月8日、大幅続伸して1月28日に付けた高値を更新した。2009年10月14日に付けた高値21万7500円にも接近してきた。Twitter関連銘柄として、株式市場における存在感が日増しに高まってきているようだ。
デジタルガレージはIT、インターネット企業を対象としたベンチャーキャピタルビジネスを手掛けてきた。これまで、価格比較サイト運営で東証1部上場のカカクコム、決算・物流ソリューションのイーコンテクストなど、多くの企業を育ててきた実績を持つ。
ただ、イーコンテクストを企業内に取り込み、カカクコムは株式を売却。これによって2010年6月期の連結経常利益は48.9%増の8億円へ拡大し、赤字に陥った2008年6月期からの改善傾向を継続される。ただ、売上高は前期の3分の1以下となる110億円まで縮小。イーコンテクストの手掛けてきた決算事業の集中することで、ベンチャーキャピタルとしての色合いを薄めてきた。
ベンチャーキャピタル各社は新興市場の低迷、経済環境の悪化、ライブドア・ショック以降強まった審査厳格化などを背景としたIPO(新規上場)市場の低迷を受け、業績を急速に悪化させた。事業環境の悪化を受けてベンチャーキャピタルビジネスを縮小される企業は多く、事業から撤退して新たなビジネスモデルを模索する企業もある。デジタルガレージも同様にビジネスを縮小して業績を改善させる道を選んだようだ。
ただ、カカクコムを育てたベンチャーキャピタルとしての眼は光を失っていなかった。投資していた米Twitterのビジネスが開花。Twitterは140文字程度のつぶやきを発するミニブログ。デジタルガレージは2008年1月に最初の出資を行ってから同6月、2009年3月、2010年1月と追加出資を行ってきた。デジタルガレージは2009年11月に社内組織「Twitter カンパニー」を設立するなど、Twitter日本語版サービスや日本の携帯電話に向けたTwitterの公式サイトの運営について協力してきた。2010年1月の追加出資をきっかけに、日本におけるTwitterの普及に向けた支援体制をより強化。グループ企業を通じて関連ビジネスの拡大にも力を入れている。
デジタルガレージはここまで、Twitterビジネスの拡大を材料に人気を集めてきた。3月8日の大幅続伸は、3月5日の記者会見で原口一博総務相がTwitterを災害情報の伝達に利用できるか、検討するように消防庁などに指示したことを明らかにしたことを受けたもの。個人を中心とした利用からビジネスへの展開、そして公的な情報配信にも用いられる可能性が高まったことで、Twitterの日本におけるビジネスの将来性が改めて注目を集めている。
ベンチャーキャピタルはハイリスク・ハイリターンのビジネス。デジタルガレージはベンチャーキャピタルビジネスを縮小して上場企業としての安定を優先したように見られていた。しかしここでカカクコムに次ぐ、またカカクコムを上回る可能性を持ったビジネスに投資することで、成功を収めようとしている。株式市場はデジタルガレージに失望した時期もあったが、足元で再度、その将来性を評価する動きとなってきている。
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