「Office 2010」からは、コンピュータメーカーが同製品の限定版を新しいPCにバンドルすることを認める、とMicrosoftは話している。しかし、Microsoftの生産性アプリケーションのうちのローエンド版である「Works」に取って代わる「Office Starter 2010」について、同社はあまり多くの情報を明かしてこなかった。
MicrosoftのシニアバイスプレジデントであるChris Capossela氏は米国時間4月7日の昼食の席で、Office Starterでユーザーが利用できる機能に関して、これまでより少し詳しく話した。
前に詳細をお伝えしたように、Office Starterは「Word」および「Excel」の機能限定版を搭載しており、消費者に無料で提供されるが、使用時に広告が表示される。Capossela氏によれば、広告は45秒おきに変わるが、近い将来、広告はOffice自身に関するものだけになるという。広告がユーザーの文書の内容と連動することは決してない、とCapossela氏は述べた。
「文書のスキャンは行わない」とCapossela氏はライバルのGoogleへの明らかな皮肉を込めて話した。Office Starterの広告は「『PowerPoint』がなくて不便はありませんか」といった類の内容で、ユーザーにアップグレードを促すものになるだろう。
Capossela氏は各アプリケーションの機能について、Wordでは極めて複雑な文書でも開いて、閲覧することが可能だと述べた。しかし、Office Starterユーザーはマクロの使用や目次の自動作成、コメントの追加といった機能を利用することはできない。ただし、ほかのユーザーが追加したコメントは閲覧できる。
こうしたアプローチはExcelでも同様だ。例えば、ユーザーは文書の閲覧と編集を行うことはできるが、自分独自のピボットテーブルやピボットグラフを作成することはできない。
より多くの機能を利用したい、あるいはPowerPointを使いたいというユーザーは同製品の有料版にアップグレードする必要がある。Microsoftは、Office 2010の全コードを新しいPCにインストールし、新しいプロダクトキーカードの購入によって、ほかのプログラムや機能のロックが解除されるようにするなど、アップグレードプロセスの簡素化にも努めている。
Microsoftは、近いうちに80%以上の新品PCにOffice Starterがインストールされるようになると予測している。ただし、Capossela氏が7日に述べたところによると、小売販売されるPCがどれだけ早い時期にWorksと「Office 2007」試用版という現行の組み合わせからOffice Starterへ移行するかは、コンピュータメーカー次第だという。おそらく、秋が終わる頃までは、WorksとOffice 2007試用版を搭載したPCも店頭に残るだろう、とCapossela氏は話した。
MicrosoftはOffice Starterで大きな賭けに出ている。Office Starterによって置き換えられるWorksから同社が得ていた売り上げは比較的少なかったが、これまでなら有料版Officeを購入していたようなユーザーが、Starterや無料で利用できるブラウザベースの「Office Web Apps」、またはその2つの組み合わせだけでよしとしてしまうリスクがある。
ここ何年も広告モデルの生産性スイートを模索してきたMicrosoftは、大々的に宣伝することなく広告モデルの「Works」を提供開始している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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