2つ目は、青少年やコミュニティサービスを一律に判断している点だ。青少年には小学生、中学生、高校生などが含まれるが、それらを同じ基準で規制するのは無理があると笠原氏は述べる。インターネットサービスの中にも、元々の知り合いとコミュニケーションを取るサービスと、サービスのなかでほかのユーザーと出会うサービスがある。それらを一律に扱うことに問題があるという。
「mixiは実際に知っている友人とオンラインでコミュニケーションをとる仕組みであり、学校の友達と教室で話しているのと同じ。そういうことも一律に禁止するのか」と笠原氏は東京都に疑問を投げかけた。
3つ目は、一斉にコミュニティサービス全般を規制すると、事業者に過度の萎縮効果を与える可能性がある点だ。自主的に取り締まる事業者が減り、「アンダーグラウンドに活動する事業者が出てきてしまう」(笠原氏)と見ている。
ミクシィが提案するのは、青少年の年齢や成長発達段階とサイトの運営方針、サービス内容を組み合わせたきめ細やかな判断基準だ。mixiでは、18歳未満に対して一律にアクセス制限を実施するのではなく、年齢に応じた「ゾーニング」という段階的規制を実施している。15歳未満の利用は禁止しており、15歳から17歳に対する機能制限は以下のとおりだ。
ゾーニングを設け、段階的な教育が必要とする意見は、1月20日に開催された「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」でも挙がった。この研究会はYahoo! JAPANを運営するヤフーと、フィルタリングソフトを提供するネットスターが共同で立ち上げたものだ。
同研究会は第二期活動報告書で、4ステップの段階的利用モデルを提案した。「体験期」「初歩的利用期」「利用開始期」「習熟期」の4段階で徐々に携帯電話とPCのネット利用制限を緩和していく。
たとえば体験期では、携帯電話で「通話」のみを、PCで「サイト閲覧」のみを認める。習熟期では携帯電話で「意見交換やオンライン交流」を、PCで「オンライン交流」「ネットでの買い物」を認めるといった具合だ。
また段階的利用モデルではインターネット利用に欠かせない能力として、「モラル・コミュニケーション面(道徳的意識)」と「知識・スキル面(情報技術の理解)」の2点を定義した。上記4段階においてそれぞれどのような能力が必要になるかを解説した保護者向け教材「小中学生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド」は研究会のウェブサイトで配布されている。
2月1日から2月26日までの期間、魔法のiらんどと三菱総合研究所が合同で、安心ネットづくり促進協議会、NTTレゾナント、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構、インターネットコンテンツ審査監視機構の協力のもと「セルフレイティング」という実証実験を実施していた。
セルフレイティングとは、ユーザー側がサイト内のコンテンツを格付けし、フィルタリングするというもの。2009年度総務省「ICT 先進事業国際展開プロジェクト」のうちサイバー特区事業の一環として実施された。
今回の実験では魔法のiらんどがケータイ小説サイト「魔法のiらんど」内に、「セルフレイティング実証実験特設サイト」を開設した。
サイト内でユーザー(ケータイ小説作者)が自身の作品を、性描写や暴力、犯罪などの表現内容、推奨年齢などの観点から自主的にフィルタリングした上で公開した。
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