日本はデフレが続き、まだまだ二番底に対しての懸念が拭いきれないとの話を聞くが、シリコンバレーを含めた米国ではいよいよ景気が回復してきたと感じる。景気回復を感じる代表的な例はGoogleの積極的なM&Aである。2009年秋に同社CEOのEric Schmidt氏が積極的な買収も開始するとのコメントを発表。それ以後9社のベンチャー企業を買収し、さらに多くの企業を検討中との噂も聞く。
このGoogleのM&Aの積極的な動きは今回が初めてではなく過去にもあり、2007年は12社を買収している。 しかし、不況や社内の調整などを理由に2008年は4社、2009年前半は0件と少なくなっているが、2009年後半から急激に増えた。同社のM&Aのターゲット企業をみていくと、M&Aを通じた今後の戦略や重点領域がよくわかる。
GoogleのM&Aの傾向を見ると、以下のような特徴が見える。まず、買収先の7割が3000万ドル(約27億円)以下という小型の買収であることだ。Googleの持つ現預金からみてもたいした金額でないが、このような小額の技術特化ベンチャー企業を好んで買収している。次に、米国の雇用形態とも関係するが、M&Aを通じて優秀なエンジニアを囲い込むこと。元従業員が起こしたベンチャー企業を買収し、呼び戻すようなケースも多々ある。
さらに、最近のトレンドは広告の新しい技術やGoogleドキュメントやGoogle Waveのようなドキュメント/情報共有関連の技術の買収、ソーシャル系の技術が続いている。同社の事業が広がる中、今後さらに広告代理店などを含めた広告業界との競合、ドキュメント/情報管理の分野でのマイクロソフトとの衝突は避けられなくなる可能性がある。その時に備えて、技術を蓄えるようにも感じる。
そんな中、2月11日に弊社投資先であるソーシャル検索の「Aardvark.com」が5000万ドルでGoogleに買収された。いろいろなブログメディアの記事にもあるが、Aardvarkは元Googleの著名エンジニア数名が集まって2007年に設立された会社で、Facebook Connectを使い友達の友達に質問する検索エンジンを開発・提供している。
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