過去最高益を記録した楽天が急落--投資家からは「インパクト不足」の声

 楽天が2月12日の取引終了後に2009年12月期決算を発表した。国内ネットサービスを中心に大幅増益を達成したが、この発表を受けた2月15日の株式市場で楽天株は大幅安。好決算と株価急落の間に何があったのか。

 2009年12月期の連結売上高は2982億5200万円(前期比19.4%増)、営業利益は566億4900万円(同20.1%増)、経常利益は548億9000万円(同23.3%増)となった。大幅な増収増益を達成し、各利益が過去最高の数値を記録した。EC、トラベルなど主力のネットサービス事業が29.5%増と大きく伸び、全体をけん引。ECとトラベルを足した国内流通総額は初めて1兆円を突破して1兆1861億円となった。

 足元の四半期(2009年10〜12月)は、クリスマスやお歳暮、タイムセールなどの販売促進活動、ポイント施策が奏功し、流通総額が拡大。出店数も地方からの出店増が続いていることから、拡大ピッチが加速している。クレジットカードや銀行事業などでもシナジー効果が出ている。

 2月15日の株価がこの好決算に反して下落した最大の要因はインパクトの不足。楽天の決算内容については、月初に観測報道が流れており、その内容のほとんどがあらかじめ株価に織り込まれていた。事前に流れた観測数字は売上高3000億円、営業利益560億円というもの。実際に会社側から発表された数字はそれに沿うものとなっていた。楽天はこれまで四半期ごとに好決算を発表していたこともあり、20%営業増益、最高益更新という文言にもインパクトがなくなっていたようだ。

 楽天は新興市場に単独上場する銘柄の中で最大の時価総額を誇る銘柄。知名度も抜群だ。発行済み株式数も多く、株価の値動きは他の新興市場上場銘柄に比べて大人しい。売上や利益の規模も新興市場上場銘柄には似つかわしくない。

 楽天がジャスダック市場に上場し続ける意図は明確ではないが、条件的にはいつでも東証1部へ上場できる企業だ。投資家の多くは楽天をベンチャー企業としてみておらず、そのことから楽天株に用意されるハードルは押しなべて高い。今回はこれ以上ないような好決算を発表したにもかかわらず、投資家からインパクト不足という厳しい評価を受けてしまった。多くのビジネスを手掛けている上に、相変わらず業績予想を非開示としていることから評価、分析しづらい銘柄として批判の声を受ける場面も出てきている。

 楽天は1月末に中国のポータルサイト大手「百度」と合弁会社を設立して現地市場に進出することを発表していた。今後は国内中心に展開していたインターネットサービス事業をアジアなど海外にも広げていく考え。株式市場でも海外展開の進捗が評価の材料となっていきそうだ。

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