楽天は2月12日、2009年12月期(2009年1〜12月)連結決算を発表した。オンラインショッピングモール「楽天市場」をはじめとしたネットサービス事業が好調で、営業利益、経常利益、純利益ともに過去最高益を更新する結果となった。
通期の売上高は2982億5200万円(前期比19.4%増)、営業利益は566億4900万円(20.1%増)、経常利益は548億9000万円(同23.3%増)、純利益は535億6400万円(2008年12月期は549億7700万円の赤字)。
セグメント別では、楽天市場や楽天ブックスなどのECや楽天トラベルなどのネットサービス事業の売上高が1608億円(前期比29.5%増)、営業利益461億円(同38.6%増)となった。楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は好調なEC事業について「ネットショッピングの普及率は欧米に対して高くなく、成長余地が大きい。また不景気に抵抗力があり、単価が下がっても数をさばくことができる」と分析する。
不景気から消費者の外出が減り、家庭内で消費が完結するいわゆる「巣ごもり消費」が好業績につながったのではないかという見方に対しては、「その需要を我々が見えないところはあるが、今まで外食しかできなかった商品のお取り寄せは好調。巣ごもりよりも、むしろ手間を省きたいという人が多いのでは」と語った。
楽天KCやイーバンク銀行、楽天証券などのネット金融事業は、売上高1150億円(前期比25.6%増)、営業利益101億円(同30%減)となった。 楽天KCのクレジットカード事業は会員数が増加し、稼働率も上昇したほか、イーバンク銀行は2009年2月の連結子会社化から1年での黒字を達成した。イーバンク銀行については、5月4日に商号を「楽天銀行」に変更する予定。楽天グループのサービスとのシナジー強化を図る。
2009年11月に子会社化したビットワレットについては、「非常に大きな投資をしているが、足下の収益は改善してきている。黒字化は難しくない」(三木谷氏)としており、今後は楽天ユーザーに対して利用の促進を図るほか、「リアルとオンラインをつなぐサービスを展開する」(三木谷氏)とした。
また三木谷氏は、2010年12月期の戦略について、「真の世界企業を目指して海外進出を本格化する」とコメントした。すでに楽天は、台湾とタイへ進出しているが、1月には百度と合弁会社を設立して中国進出することを発表した。
中国では2010年後半に事業を展開する予定だ。これに加えて台湾、タイ、中国以外での事業展開も予定しており、「約10カ国に展開していく」(三木谷氏)という。
そのほか、技術開発体制を世界規模で強化していく。Rubyの生みの親であるまつもとゆきひろ氏をフェローに抱える楽天技術研究所については、現在の約20名(フェローなど含む)から100名まで拡大する。さらに、インドに開発拠点を、米国に研究開発拠点をそれぞれ設置する予定だ。
また、すでに三木谷氏も利用しているTwitterをはじめとしたソーシャルメディアを利用したマーケティングやサービスも強化していくとした。
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