Mozillaのエンジニアリング担当バイスプレジデントMike Shaver氏はブログ記事の中で、MozillaがH.264コーデックの使用許可を、同テクノロジを管理する業界団体MPEG LAから受けるとしたら、500万ドルのライセンス料を支払わなければならないだろうと述べている。また、それを支払ったとしても、Mozillaのブラウザを使用した製品を開発するLinux OS企業などが権利を得るわけではないという。
「このライセンス料は、ブラウザ開発者やディストリビューターに影響するだけでなく、ビデオコンテンツを作成したいと考えるあらゆる人にとっての料金所のような存在ともなる。H.264が標準化されたウェブの一部として受け入れられたら、そのライセンス料は、新しいブラウザを開発する人、ウェブを新しいデバイスやプラットフォームで利用できるようにする人、コンテンツやアプリケーションの開発支援ツールを作成する人にとって、参入の障壁となる」(Shaver氏)
普及するビデオテクノロジはただ1つでなければならないということはない。結局のところ、現在のウェブではJPEG、GIF、PNGといったさまざまな画像形式が広く使用されているし、現在ビデオに広く使用されているFlashテクノロジは、これからも数年間使われ続けるだろう。
しかし、複数の標準をサポートしようとすれば、デベロッパーにはより多くの時間が必要となり、ウェブサイトはさらに複雑なものになる。そのため、主流の標準がなければ、ウェブサイトのデベロッパーは傍観者の立場をとる可能性が高い。
この問題は、HTML 5標準化プロセスの舞台裏で数カ月前から起きようとしていた。HTML 5標準のエディターを務めるGoogleの従業員Ian Hickson氏は2009年、HTML 5標準でビデオコーデックを指定しないことに決めたという。同氏はブログ記事で「HTML 5のビデオとオーディオのコーデックに関する状況について、公的および私的な膨大な議論の末に、不本意ながら、すべてのベンダーが実装して出荷しようと思うような適切なコーデックは存在しないという結論に達した」と述べている。
ウェブブラウザでのHTML 5ビデオサポートは、まだ始まったばかりだ。FirefoxはもちろんOgg Theoraをサポートしており、Operaもそうしようと取り組んでいる。他方Appleの「Safari」はH.264をサポートしている。「Internet Explorer」はいずれもサポートしておらず、Googleの「Google Chrome」は両方をサポートしている。
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