独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は1月22日、「平成21年度情報通信ベンチャービジネスプラン発表会」を開催した。
この発表会は、NICTのベンチャー支援事業の一環として毎年開催されているもの。新規性や独自性に富んだITベンチャーにプレゼンテーションの場を与えることで、資金調達や業務提携、営業活動の促進を目的としている。
今回の発表会では、2009年9月から11月にかけて応募のあった企業の中から5社のファイナリストおよび2社のセミファイナリストが選ばれ、プレゼンテーションを繰り広げた。企業名およびプレゼンテーションのテーマは以下の通り。
- 三三「名刺クラウドサービス『Link Knowledge』」
名刺管理をベースにした法人向けのSaaS型CRMソリューション。名刺をスキャニングし、オンラインで情報を管理することで、情報を営業やマーケティングへ利用することをうながす。サービス開始2年で300社の導入実績があり、春からは個人向けの名刺管理サービスの提供も予定している。
- キャトルアイ・サイエンス「R&Dクラウド基盤ミドルウェア」
大規模なデータ処理を担当する研究部門向けに特化したPaaS型ミドルウェア「RCM Chain Management」のデモ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめ、公共機関や学術機関の研究部門での導入実績を持つ。
- アイシンクス「高精度手書き文字認識エンジンと応用アプリケーションの開発および事業化」
東京農工大学中川研究室が開発した高精度手書き文字認識エンジンを紹介。手書き文字の認識率は現在99.0%程度だが、これを将来的に99.5%まで向上させる予定。将来的には電子カルテや集計システムとの連携を目指す。
- ファンタジスタ「電子書籍投稿〜配信サービス『mixiPaper』」
電子書籍の生成・共有サービス。サイト上に画像データをアップロードするだけで、Flashベースの電子書籍を生成できる。現在公開されている電子書籍は600冊。今後はiPhone向けのサービスも提供する
- マネジメント&ライツLLC「「フェアトレードマート事業」
無化学肥料栽培を行う生産者をネットワーク化した直販サイトを運営。資金調達先を求めて発表会に応募したとのことで、7月をめどにサイトをグランドオープンする予定。
- ことのは出版(セミファイナリスト)「デジタルコンテンツオーディオブック」
俳優や声優などが書籍を朗読した「オーディオブック」の企画制作を手がける。現在iTunes Store上で提供されている日本語のオーディオブックは約3000程度だが、そのうち約800は同社が提供している。
- PAPUNA(セミファイナリスト)「韓花(はんこっ)事業」
韓流スターの日本進出やファンクラブ運営支援のノウハウを生かし、韓流スターに花とメッセージを届けるサービスを展開。サービス開始は2009年9月で、ユーザーはF2、F3層が中心。今後は雑誌などでの広告を強化するほか、中国進出を目指す。
なお今回の発表会から、ファイナリストから1社の審査委員優秀賞が選ばれることとなった。優秀賞を受賞したのはファンタジスタ。シンプルで分かりやすいサービスである点や、邦人個人を問わず自己表現のために利用できるという点が評価された。
同発表会ではこのほか、ぐるなび創業者であり、現在取締役会長を務める滝久雄氏による基調講演などが行われた。
左から、審査委員の1人である伊藤忠テクノロジーベンチャーズ代表取締役社長の安達俊久氏、ファンタジスタ代表取締役の栗原弘樹氏、独立行政法人情報通信研究機構理事の吉崎正弘氏