ところが、GoogleのChromeがシェアを伸ばしており、登場後15カ月で利用数がAppleの「Safari」をわずかに上回った。Chromeは、「Gmail」や「Google Docs」といった多くのクラウドコンピューティングプロジェクトを抱えるウェブ生まれの企業が作ったブラウザであり、したがってChromeからの挑戦は、OS企業が作ったブラウザであるIEやSafariとは質的に異なるということに注意する必要がある。ChromeはMozillaと同様、オープンソースのソフトウェアだ。
Mozillaはさまざまなアイデアを進行させている。次にMozillaが予定しているのは、LorentzというコードネームのFirefox 3.6の更新で、このリリースはFirefoxの更新頻度を上げる新しい試みを具体化するものとなる。
Lorentzの公式なバージョン番号はFirefox 3.6.5となる可能性が高い。その主な特徴は、Adobe Systemsの「Flash」やAppleの「QuickTime」の実行をブラウザのメインプロセスとは別のコンピューティングプロセスに分離する、プラグインの別プロセス化(out-of-process plug-ins:OOPP)だ。
その結果、Flashプログラムのクラッシュ(Firefoxにおける問題のよくある原因)が起きたとき、ブラウザ全体がクラッシュして再起動するのではなく、ブラウザのタブの1つにエラーメッセージが表示されるようになる、とBeltzner氏は言う。
「それが、われわれがユーザーに提供したいと考えているものだ。これは、ほかの部分に影響を及ぼす変更ではなく、ブラウザの操作性を変えるものではない。そこでわれわれは、これをマイナーアップデートとしてリリースしたいと考えている」(Beltzner氏)
OOPPは、ブラウザをいくつかの独立したプロセスに分割する、Electrolysisと呼ばれるプロジェクトの第1段階だ。Beltzner氏によると、次の段階はコンテンツ処理とユーザーインターフェースのプロセスの分離で、その後Mozillaはブラウザのタブをさらに別のプロセスに分離する可能性を検討するつもりだという。
Mozillaは間もなくLorentzのコードベースを凍結して、テスト作業を開始し、その後できれば2月の前半にベータ版をリリースしたいと考えている。
「2010年第1四半期中にはOOPP更新を導入したい。おそらく四半期の終わりごろになるだろう」(Beltzner氏)
MozillaはFirefoxのリリース頻度を上げようとしてきた。Lorentzは、その戦略における新しい戦術を表すものだ。
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