三洋電機が新規参入する「エナジーソリューション」事業は蓄エネと活エネが鍵

加納恵(編集部)2009年12月11日 17時18分

 三洋電機は、10月に参入を発表した「エナジーソリューション事業」に関する記者説明会を開催した。創、省、蓄エネに「活エネ」を加えることで、電力の受給安定化を目指す。

三洋電機エナジーソリューション事業統括部 統括部長の花房寛氏 三洋電機エナジーソリューション事業統括部 統括部長の花房寛氏

 エナジーソリューション事業とは、太陽電池で発電した電力を2次電池に蓄電し、その電力を効率的に活用できるようコントロールするというもの。11月には蓄エネの部分を担う大容量・高電圧のリチウムイオン電池システムを発表。「大容量・高電圧のリチウムイオン電池システムは、2010年3月に、どこよりも早く市場に投入する」(三洋電機エナジーソリューション事業統括部 統括部長の花房寛氏)という。

 花房氏は「2004年度に日本企業のシェア41.3%だった太陽電池は、2008年度に14%にまで低下してしまった。一方2次電池は2003年度に64%のシェアを主要の日本企業で獲得、2008年度においても48%を維持しており、まだがんばれる市場だと思っている。こうした創エネ機器に、電池システムの蓄エネを加えることで、新しいエナジーソリューションを創出していきたい」と市場参入への意欲を話した。

  • スマートエナジーシステムの概念図

 三洋電機では、創、省、蓄、活エネで提案するエナジーソリューションを「スマートエナジーシステム」として、店舗、学校、工場などに展開していくとのこと。

 ターゲットは工場や高層ビルなどの大規模、店舗や病院、船舶などの中規模、ガソリンスタンド、住宅などの小規模の3つに分け、それぞれの使い勝手に合った提案をしていく。

 小規模展開としては、駐輪場の屋根に太陽光パネルを設置し、電動ハイブリッド自転車の電力や非常用コンセントとして活用できる「ソーラー駐車場」などを提案。すでに徳島県庁で実証実験がされているほか、2010年春には世田谷区の京王線桜上水駅にも同様のソーラー駐車場が、電動ハイブリッド自転車「エネループバイク」とともに納入される予定だという。

 コンビニなどの店舗に太陽光発電システムを取り付けるほか、蓄電池による電力コントロール、省エネタイプの冷蔵・冷凍ショーケースといった機器を組み合わせて提案していくのが中規模タイプだ。店舗のほか、学校の体育館などに導入することで、災害時の空調、通信手段などが確保できるとしている。

  • 三洋電機の加西事業所新工場には、50億円をかけてスマートエナジーシステムを導入する

 大規模展開では、兵庫県・加西市の加西事業所新工場(加西工場)をモデルケースとして利用する。加西工場はHEV用2次電池の新工場として2010年7月に竣工を予定。その加西工場にスマートエナジーシステムを約50億円かけて取り入れる。

 ビルの壁面にはビル用建材一体型の太陽光発電システムを装備し、1メガワットの創エネを予定。加えて1.5メガワットアワーの2次電池と放電制御技術を取り入れることで、効率的に自然エネルギーを活用していくとのことだ。

 また、工場敷地内には、両面から効率良く太陽光を取り入れられる「HITダブル」を備えたソーラーチャージング・ステーション「solalib(ソラリブ)」を設置。LED照明を内蔵するほか、電気自動車など電動コミュータへの給電設備として利用できるようにする。

 生産体制や市場が整ってきたものの、太陽光発電の普及には課題も多い。花房氏は「出力変動が大きい太陽光発電の電気が、大量に流れこむと、送配電網が不安定な状態になる」と指摘する。これに対しては「蓄電池の導入で、太陽光発電を手がけるそれぞれが、自給自足することで、送配電網への供給を抑制できる」とし、蓄エネ、活エネまでを取り込んだシステムでの提案が大切だとした。

 三洋電機では、11月からエナジ-ソリューション事業統括部を70人体制にし、新事業に取り組んでいるとのこと。「メイン戦略はコラボレーション」(花房氏)というように、すでにローソンや鹿島建設などとの協業も進めている。花房氏は「今後は、住宅設備メーカー、船舶、自動車メーカー、電力会社の業界リーダーとのコラボレーションで開発を加速させる。2015年度にはエナジーソリューション事業で1000億円の売り上げを目指す」とまとめた。

  • ソーラーチャージング・ステーション「solalib(ソラリブ)」の模型。実物は直径13.6m、最高部は12.7mになるという

  • スマートエナジーシステムのメイン戦略は他社とのコラボレーションだという

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