三洋電機は11月26日、600メガワットの増産体制を整えた太陽電池事業において、今後の戦略を発表した。2012年度には国内シェアトップ、2015年度にはグローバルベスト3圏内を目指す構えだ。
三洋電機ソーラー事業部事業企画部部長の脇坂健一郎氏は「HIT太陽電池は、初期の変換効率が高く、温度が上昇する屋根の上でも変換効率の下がり具合が小さい。世界トップレベルの変換効率を実現し、市場でも高い評価を得ている」と高性能をアピールする。
通常の太陽電池モジュールに比べ、HIT太陽電池モジュールは表面だけでなく、裏面からも発電できることが特長。セルの変換効率は、研究レベルで世界最高の23.0%、量産レベルで世界トップレベルの20.0%をマークしている。
生産体制も増強されてきた。2009年に340メガワットだった生産能力は、二色の浜工場の増設や、モンテレー工場(メキシコ)、オレゴンの三洋ソーラー(米国)などの開所により、2010年度には600メガワットにまで拡大される。
「セルは独自技術なので、ノウハウの流出を抑えるためにも当面は、二色の浜工場と島根三洋電機の2つを拠点に国内で生産していく。モジュールは、形状が大きいこともあり、消費地で生産し組み立てる方針をとっている。海外ではハンガリー、モンテレー工場、日本では滋賀工場が担当している」(脇坂氏)とし、生産体制が整ったと話した。
また、2015年度末に生産能力を1.5ギガワット規模に増強することも明らかにし、「グローバルトップ3を目指す」(脇坂氏)と今後の計画を語った。
「太陽光発電の販売に追い風を感じている」とした、三洋ソーラーエナジーシステム代表取締役の亀田正弘氏は「2009年1月から国の補助金制度が復活し、順調に販売が伸びている」と現状を話す。
国の補助金制度復活、約500の地方自治体が支援する補助、11月からスタートした余剰電力の買い取り制度。太陽光発電の販売状況は政策に後押しされているという。
亀田氏は「販売量はメーカーサイドの予想以上に大きく飛躍している。その一方価格はダウンしており、来年度は価格競争になるだろう」と予測する。
こうした市場を背景に三洋電機が取り組みとして挙げたのは、バリューチャネルの強化と、新規需要の開拓だ。
「既存の有力店をチェーン化するとともにBtoBチャネルを強化し、国内をしっかりとカバーしていきたい。三洋電機の特約店である『薔薇チェーン』にも、売っていただくような体制をとっていきたい」(亀田氏)との方針を示した。
一方、新規需要に関しては「現在設置されているお客様でも、11月からの買い取り制度を受け、増設を考える可能性がある。そういったことを踏まえて展開していきたい」と意欲を見せる。さらに「住宅の屋根だけではなく、コイン式パーキングなど、ソーラールーフとして駐車場の屋根を利用したい。スクールニューディール構想、メガソーラーに対しても営業を強化する」(亀田氏)と法人販売にも積極的だ。
現状を踏まえ、今後の成長戦略としては「HIT太陽電池だけでなく、普及型の開発などラインアップを拡充していく。それと同時に二次電池の開発も加速し、技術的に融合しながらエナジーソリューション事業を推進していきたい」(亀田氏)とまとめた。
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