うるま:その後、本格的にパソコンで絵を描こうと思ったのはAmigaですよ。それがちょうど今のシモダさんと同じくらいの年齢のときです。それまでは、働かずに遊び歩いていたんですけど、Amigaで絵を描きはじめて、せっかくなので見てもらいたい人のところに電話をかけて見せて歩いたのがキャリアのはじまりですよ。「ウゴウゴルーガ」がほぼデビューですからね。で、そのあとすぐ「今日の気分」を始めて、インターネットの時代がやってきた。もし「ウゴウゴ」の時にインターネットがあったら番組は変わってたかもね。
−そこから急激にネットは普及していったわけですけど、メディアとして、もしくはビジネスの場として当時と今とで、変化した部分はどこだと思いますか?
うるま:今でこそ、大きな企業が入って「ネットはお金を生み出すもの」という考え方がありますけど、元々は一部の人の趣味で盛り上がったもので、いまだにそれは色濃いですよね。そのせいか、子供の遊び場に大人が乗り込んできて、縄を張って「ココ入るんだったら金払え」みたいなことをやってると、品のない感じに見えちゃう。そうじゃなくて、子供と一緒になって本気で遊べる大人っているじゃないですか。ネットの世界ではそういう人がいいですよね。
シモダ:遊びの延長だったりしますからね。あと、例えばテレビって「チャンネル」という数が少なくて限られている場所で、大多数にウケるものを作ってお金を稼ぐものだったじゃないですか。ネットの場合、チャンネルに相当するものは無数にあって、ネットを使って欲しい情報にたどり着ける人という前提はあるものの、マイノリティな嗜好を持つ人を満足させられる属性や欲求も無数にある。一つ一つの規模や稼ぎはテレビに比べると小さいけど、かつてはマニアックすぎて費用対効果が低くお金にならなかったところを、お金に換えていける場所ができたのかなって気がしますね。
うるま:でも、Twitterで今、日本トップクラスのフォロワーを持つホリエモンでも25万人くらいだよね。テレビって視聴率1%で100万人だから。それを考えるとネットはメディアの力としてはまだまだってことですよね。もっとも、それもいずれ変わっていくでしょうけどね。76歳になったうちの母でさえインターネットやろうかな……と言い始める時代になりましたから(笑)。ネットを当たり前のモノとして使う人口はまだまだ限られてると思うんです。うちの母みたいな人がテレビのように普通に使えるようになって、初めてメディアとして完成するんじゃないですかね。
シモダ:あと、今ってなんでもかんでも無料が当たり前の文化になってきてますね。ものすごく便利に使えるモノを無料で提供することで、それを利用するユーザーを集めてからオプションでお金を徴収したり、あるいは広告を集めたりっていうビジネスモデルが多いですけど、なんでもかんでも無料になりすぎてて、その癖がついたせいで、本来お金が払われるべきモノまで「無料」に巻き込まれてしまった。僕も含めて、使う方からすればタダは嬉しいんですけど、作り手が減っていく流れになっているのかなと。
うるま:自分がいいと思ったモノにはちゃんと払うということ。シモダさんもそうだと思うんだけど、モノを作る人って、価値そのものを生み出そうとしてるんじゃなくて、喜んでもらおうとか笑ってもらおうとかそういう過程があっての価値をお届けしてるわけでしょ? それで笑ったらお金を払うっていう気持ちがないとクリエイターは成長しないし、それを続けられるわけないよね。携帯はすでにお金払うのがデフォルトになってる。だから別に「絶対払わないぞ!」って心に決めてるわけじゃなくて、雰囲気なんじゃないの?
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