Googleはしばしば、従来的な新聞に対抗する存在と見られてきたものの、同社はいま、大手新聞紙を発行する2社と協力して、オンラインでニュースを提供する新たな実験を開始している。
Googleは米国時間12月9日、特定のトピックにフォーカスしたニュース記事、更新情報、論説、マルチメディア情報などを、すべて1つのウェブページに表示する実験的な新機能「Living Stories」を発表した。
それぞれのLiving Storyは、ヘルスケアや地球温暖化、アフガニスタン戦争など、さまざまなトピック別になっており、恒久的なURLを保持している。同ページには、トピックに関連したヘッドライン、サマリ、詳細記事など、あらゆる情報が表示される。Living Storyページ内のリンクをクリックすることで、記事や写真の閲覧、動画の視聴、トピックの時間軸で見るタイムラインのアクセスが可能となっている。また、新しいニュースや最新のアップデートが投稿されても、同じページで読めるようになっている。
Living Storyでは、ユーザー自身の利用状況をトラッキングし、まだ閲覧していないアップデートを通知したり、すでに閲覧済みの古いニュースはページから削除したり、グレーアウト表示に切り替わったりする。さらに、お気に入りのトピックは、電子メールでアップデートの通知を受け取ったり、RSSのフィードを受信したりできるようになっており、最新ニュースをフォローするために改めてLiving Storyの各ページへと戻る必要はない。
Living Storiesは、まだGoogle Labsのサンドボックスにおける新しい実験に過ぎないため、トピックの数は限られている。Googleは現在のところ、The New York TimesおよびThe Washington Postの2社と協力しているのみである。どのトピックを自社のLiving Storyページに掲載するかは、各新聞社が決めている。しかしながら、Googleには、他社も独自にLiving Storiesを立ち上げられるように、オープンソースのツールを開発していく計画がある。もしこのコンセプトが軌道に乗れば、自社が立ち上げたページで広告を販売できる可能性もあり、他のパブリッシャーにとっては売り上げを確保することも可能となるかもしれないと、The New York Timesは伝えている。
ますます多くの人々が毎日また毎時間ごとのニュースの確認にウェブを活用するようになっており、その影響を受けて、新聞社は事業の悪化に見舞われてきた。ある観点では、Googleが従来の紙メディアから敵視されてきた。The Wall Street Journal(WSJ)を指揮するメディア王のRupert Murdoch氏は、Googleがコンテンツを盗んでいると非難し、Googleのリストにサイトが掲載されないような措置を講じる兆候を示してきた。
こうした懸念に応えて、Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は、このほどWSJに論説を寄稿し、実際のところは、Googleこそ新聞社の事業推進を支援することができるとの持論を展開した。そして、多くのニュースメディアが売り上げの低下を受けて、ウェブと競合するよりも共存する道を選ぶに至っている。
The New York Timesは、Living Storiesの実験が、より良いものに大きくつながっていくだろうとの楽観的な見方を示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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