クックパッドが12月4日、2010年4月期10月中間決算を発表した。驚異的な増益率を示しているが、株式市場の反応は限定的にとどまった。上値は重く、戻り歩調を強めている東京市場にあって動きの鈍さが目立ち始めている。
クックパッドの中間期業績は、非連結売上高が前年同期比88.9%増の8億9000万円、経常利益は2.1倍の3億9800万円となった。パソコン向けの料理レシピ投稿サイト「クックパッド」に加えてモバイル版の「モバれぴ」の閲覧者数が順調に拡大。クックパッドの10月の月間利用者数は816万人となった。主力のマーケティング事業は企業とのタイアップ企画を「クックパッド」上で展開し、広告費を受け取るビジネス。主要顧客である飲食会社、飲料会社の重要な販促手法として認識され始めており、受注が増加。事業売上高は前年同期比28.6%増となった。バナーなど従来型広告の広告事業にも閲覧者数のハイペースの伸びに支えられて旺盛な需要。同期間の事業売上高は同59.5%増となっている。
一方、会員事業は前期に実施した国内3キャリアでのサイト公式化の効果を背景に有料会員の高い伸びが継続。第1四半期に検索機能を拡充した効果も寄与し、事業売上高は同6.9倍に躍進した。事業規模は主力のマーケティング事業に並ぶまでに拡大している。
中間期業績の成長率だけをみればインパクト絶大だが、株式市場での反応は限定的だった。クックパッドは3カ月前に開示した第1四半期決算時に通期業績計画の上方修正と1対3の株式分割(11月末に実施済み)を発表していた。当時は決算発表前から株式市場で増額修正と株式分割への期待が高まっており、注目度が高まっていた。ただ、今回は2四半期連続で増額修正される可能性が低いこともあり、事前の注目度は低め。それがそのまま株価に現れた格好だ。
また、クックパッド株の水準の高さも鈍い値動きの一因。PERは現在の株価が今期予想利益の何倍まで買われているかを示す指標だが、クックパッドの場合は80倍台で推移。「アメーバブログ」のサイバーエージェントが37倍、「モバゲータウン」のディー・エヌ・エーが27倍、グリーも26倍であり、クックパッド株の割高感は明白。言い換えれば80年先の収益までを織り込んだ株価水準であり、良い材料が出ても反応が鈍くなるは致し方ないとも言える。
ただ、高PERは成長性について株式市場が高く評価していることも裏付けでもある。もちろん、発行済み株式数や収益規模の違いなどは考慮すべきだが、グリーなどを上回る評価を受けている稀有な銘柄でもあるのだ。実際、クックパッド株は新興市場が急落した場面でも底堅く推移してきた。通期計画と比較した中間期の経常利益の進ちょく率は55.2%。四半期毎に収益を拡大させるクックパッドにとっては高進ちょく率と言える。2010年4月期業績計画にはもう一段の増額余地が指摘されており、今後はそれを期待するような相場展開となっていきそうだ。
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