Opera Softwareは12月3日、次世代HTML仕様「HTML5」に関するウェブ開発者向けイベント「HTML5を使ってみよう!」を日本オフィスで開催した。本記事では、OperaウェブエヴァンジェリストのDaniel Davis氏による、HTML5に関するプレゼンテーションを紹介する。
HTML5は、AppleやMozilla、Operaらにより設立されたコミュニティ「Web Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)」で開発中のHTMLの最新版。Davis氏は、「ウェブページを作る時、ブラウザを使うユーザーだけでなく、ほかの機械やアプリケーションがアクセスすることも考えなくてはならない」とし、新たなマークアップ言語について説明した。
例えば、視覚障がい者のためのソフトウェアに「スクリーンリーダ」がある。マークアップ言語でウェブページの記事を“コンテンツ”として指定すれば、ボタン一つですぐに記事を読み上げられるようになるという。つまり、障がい者や高齢者にとっても広く利用できる「アクセシビリティ」の向上が図れるとしている。同様に検索エンジンが記事を記事として認識できれば、ユーザーはより検索が楽になるという。
また、「今すぐマークアップ言語をHTML5にしてもページの表示は変わらないが、裏側の意味が変わり管理しやすくなる」(Davis氏)としている。現在のウェブページは将来どのように使われるか分からない。このため、ウェブ開発者が管理しやすい状態を保つことで、将来的にも新しいアプリケーションを利用できるようになるという。
Davis氏によると、HTML5のモットーは「牛の通り道を舗装する(paving the cowpaths)」であるという。ウェブ開発者を牛に例え、ウェブ開発者がこれまで行ってきた開発方法をそのまま基準にして整備すれば、一から新たな基準を設ける手間をかけずに、よりHTMLを使いやすくできるという。このため、HTML5にはHTML4やXHTMLの要素が含まれている。
HTML5には約165のタグが用意されている。ウェブページに動的なアニメーションなどを作成できる「
一方で、Davis氏は、HTML5の欠点も挙げている。HTML5には、マークアップ言語のほかに、JavaScriptの計算が重くてもブラウザが固まらない「ウェブワークス」や、ユーザーの現在地を取得できる「ジオロケーション」、ネットに接続していなくてもウェブアプリケーションを利用できる「オフラインストレージ」などアプリケーションに関するさまざまな技術がある。このため、「すべてを理解するのは難しい」(Davis氏)と分野の幅広さを指摘した。この反面、「HTML5にはHTML4やXHTMLの要素が含んでいるので、難しい部分は使わなくても良い」とコメントした。
このほか、「まだ発展途中なので、ブラウザごとに対応の偏りがある」(Davis氏)ことなどを挙げている。例えば、HTML5に対応していない「Internet Explorer」では、Remy Sharp氏が公開している以下のようなコードをヘッダに入れることで、HTML5を利用できるようになるといった対策が用意されている。
Davis氏はHTML5について、「今のままで良ければ、今のままで良い(If you like it,you can keep it)」と説明し、「各ブラウザベンダーらが頑張っているので、今後は各ブラウザに対応していくのではないか」と述べた。Operaが主催するイベントは今後も、同社のホームページ「めざましTech」にて案内する。
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