ブラウザ技術に関して言えば、MozillaとMicrosoftは、いつも意見が一致するわけではない。しかし、両社の考えがぴったり一致していることが1つある。それは、「Google Chrome Frame」への反対姿勢だ。
Chrome Frameは、GoogleのブラウザエンジンをMicrosoftの「Internet Explorer(IE)」の内部に組み込むプラグインだ。そして、Googleの主張によれば、Chrome Frameは、ページの読み込みやJavaScriptのパフォーマンスを高速化することで、IE6とIE7、IE8をより近代的なブラウザにするという。Chrome Frameは、ウェブ開発者が特定のタグを付与したウェブページ上でのみ機能する。GoogleがChrome Frameを発表した後、Microsoftはブラウジング時のセキュリティリスクを高めている可能性があるとして、同プラグインを批判した。
「Firefox」の開発を手がけるMozillaのエンジニアリング担当バイスプレジデントであるMike Shaver氏は米国時間9月28日夜、ブログ記事の中で別の懸念を表明した。
「『Chrome』や『Safari』、Firefox、『Opera』で実現されているパフォーマンスや機能を大多数のウェブユーザーが享受するウェブを切望する気持ちは、もちろんわたしも共有している。残念ながら、Chrome Frameによって、われわれがそのウェブに近づけるとは、わたしは思わない」とShaver氏は述べた。
Shaver氏は具体的な内容に言及し、Chrome FrameはIEの機能を無効にして、ウェブセキュリティ問題に対するユーザーの理解を混乱させてしまう可能性があると述べた。さらに、問題視されているIE6ブラウザを使っている場合、ユーザーのコンピュータが変更を禁止するようにロックダウンされていたり、そもそも十分な性能が備わっていなかったりすることから、どのみちChrome Frameを実行できないことが多い、とShaver氏は付け加えた。
「ソフトウェアの選択権をユーザーが訪れる個々のサイトの開発者に委ねることによって、ウェブのセキュリティモデルやブラウザの挙動に対するユーザーの理解が大きく妨げられるという副作用もある。これは、『Flash』や『Silverlight』『Java』といったほかのスタックプラグインで、われわれが繰り返し目にしてきた問題であり、『HTML5』の旗印の下で再び繰り返す必要などないとわたしが考えている問題だ」とShaver氏は述べた。
Shaver氏は、あの伝統的な手法、つまりウェブサイト上にアップグレードを勧めるメッセージを表示する方法を採用するようアドバイスしている。
「Chrome Frameスニペットを使いたい開発者は、ユーザーに対して自分のサイトはChromeを使った方がより快適に動作すると伝え、Chromeのインストール方法を指導するだけにした方が、ウェブに好影響をもたらすだろう」とShaver氏は述べた。「そうすれば、ユーザーは代替ブラウザの利点について学習し、自分が下している選択をより深く理解できるようになるだろう。それに、Chromeのパフォーマンスに対する賞賛は、MicrosoftではなくGoogleに向けられるだろう」(Shaver氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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