Googleは、ワードプロセッサのような旧来の生産性ソフトウェアをオンラインに移行させる動きにおそらく最も熱心だが、その構想にふさわしいサービス「EtherPad」を手がけるAppJetという小さな会社を買収した。
AppJetは米国時間12月4日、Googleによる買収を発表した。同社サイトの説明によると、「EtherPadの担当チームは『Google Wave』チームに合流して業務を継続する」という。
AppJetが提供していたサービスには無料版と有料版があり、そのどちらでも、「Microsoft Word」の文書、ウェブページ、PDF、テキストファイルなどをインポートして、複数名のグループメンバーが「パッド」と呼ばれるインターフェース上で編集作業を共同で行える。また、「タイムスライダー」機能を使えば、パッドの編集履歴を振り返ることができる。
Google Waveにもこれと同じような機能がある。Google Waveはある意味、インスタントメッセージング、Wiki、電子メールのハイブリッド版のようなものだ。Googleの最高経営責任者(CEO)Eric Schmidt氏は、特に、本来備わっているネットワーク性や、協業する人たちが何をしているのかをリアルタイムで見られる点をもって、Google Waveをコラボレーションの未来形と位置づけている。
そうしたリアルタイムのコラボレーションは、厄介な問題だ。複数メンバーに対して1つのドキュメントを同時に編集することを許可し、その一方で、ある人の作業が他者の作業に干渉しないようにするのは、困難になり得る。さらに、同時に行われている作業を表示することも、サービスのユーザーインターフェースを複雑なものにする。
ワードプロセッサ、表計算、プレゼンテーションをオンラインサービスとして提供している「Google Docs」も、複数名が同時に編集できる機能をある程度提供している。AppJetは、EtherPadのFAQでこの点を次のように評している。
「Google Docsでは、あなたがキーボードから加えた変更が他の人の画面上に反映されるまで、5秒から15秒程度かかる。ホワイトボードや電話でこれだけの遅れがあったらどうなるか、想像してほしい!」
Google WaveとGoogle Docsは、おそらくAppJetにとって最も近いライバルだが、大局的な対立関係は、クラウドコンピューティングと、現在は大勢がPC上で実行している生産性ソフトウェアの使用法の間にある。とはいえ、特筆すべきは、Microsoftが市場で支配的な「Office」スイートのオンライン版に取り組んでいることだ。
EtherPadの現行ユーザーは、サービスの終了を受け入れるべきだろう。AppJetは次のように説明している。「『Free Edition』と『Professional Edition』のユーザーであれば、2010年3月31日まで、既存のパッドに使用や編集を継続できる。無料の公開パッドの新規作成はできない。2010年3月31日を過ぎると、既存のパッドとそれに関連するすべての個人情報は削除され、パッドにアクセスできなくなる」
この知らせを受けて、1人のEtherpadユーザーが悲しんでいる。JavaScriptプログラマーで、「jQuery」プロジェクトを創設したJohn Resig氏だ。
Resig氏は12月4日、「Etherpadが閉鎖されるなんて全くひどい話だ。われわれはjQueryのプランニングにずっと使っていた」とTwitterに書いた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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