映像コンテンツの二次利用、諸外国ではどう扱う?--文化庁主催のシンポジウムで報告 - (page 2)

 これに対し、“販権”という特有の概念を軸にした権利処理が図られているのが韓国だ。販権とは、制作された劇場用映画を劇場公開、放送、ネット配信、ビデオグラム化などそのままのかたちで利用販売する権利。その範囲内であれば、販権の保有者は一切の権利処理をせずにコンテンツをマルチユースできることになっているという。

 東京都市大学専任講師の張睿暎氏によると、韓国の劇場用映画においては、映画会社は作品の制作のみを担当し、費用の投資は別の会社が受け持つというのが一般的なのだという。そのため、映画そのものの著作権については、契約によっては投資会社と共有したり投資会社側が譲り受ける場合もあるが、映画制作会社に帰属するというのが原則だ。

 つまり、映像著作物をそのままのかたちで利用する限りは、販権に基づき一切の許諾は不要となっており、収益の分配や追加報酬額についての権利処理が制作段階で契約でなされているというのだ。ただし、劇中で使用される音楽の著作権については、別途許諾を得る必要があり、韓国音楽著作権協会(KOMCA)が集中管理しており、事実上は報酬請求権と同様の扱いとされている。

 日本では遅々として進まないコンテンツの二次利用の動き。その一方で、今回報告された4カ国における映像コンテンツの契約実態を見ると、過去の作品の権利処理など課題が残るものの、制作段階で権利処理をすることにより、比較的スムーズに対応できる状況になりつつあるようだ。

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