Mozilla Foundationはそれら2つのプロジェクトを管理する2つの子会社を設立した。まず2005年にFirefoxを担当するMozilla Corporation、そして2007年にThunderbirdを担当するMozilla Messagingがそれぞれ設立された。Ascher氏は2007年より、6人のエンジニアとほか9人の社員を抱えるMozilla Messagingを率いている。
Mozilla Messagingは、ソフトウェアの翻訳やアドオンの制作、デバッグ作業の支援に、オープンソース界の大勢のボランティアが持つ専門的能力も活用している。こうした助けがあるおかげで、Mozilla Messagingはたった1人の品質保証担当社員と1人のマーケティング社員で何とかやっていけており、Thunderbird 3は40カ国語以上でリリースされる。
Mozilla Messagingは現在、その資金を親組織である非営利団体Mozilla Foundationから得ている。一方Mozilla Foundationは、その売り上げの大半を、FirefoxからGoogleに送信される検索によって発生する検索広告の売り上げから得ている。Ascher氏は、最終的にMozilla Messagingを財政的に自立させたいと考えている。しかし、どのようにすればよいのだろうか。
「現段階では分からない。われわれが模索しているのは、Firefoxのような収入モデルだと思う。これは、ユーザーは無料で恩恵を享受できて、しかもMozilla Messagingには、長期的な開発を支えるだけの資金がどうにかして流れ込んでくるというものだ」(Ascher氏)
これは苦しい言い逃れのように聞こえるかもしれないが、Ascher氏が指摘したところによると、同社には、投資した資金から短期間で大きな利益を得ようとしている投資家がいないため、Mozilla Messagingは比較的安いコストで運営できるという。
Mozilla Messagingが採用するつもりのない方策の1つが、広告だ。広告というアプローチはGmailや「Hotmail」「Yahoo Mail」、さらにはFirefoxにとっても不可欠なものである。
「電子メール内広告は人々にとってメリットがないと思う。検索エンジンで広告がうまくいく1つの理由は、人々が何かを買うために検索することがよくあるからだ。そういう人は広告を見てうれしく思う。役に立つからだ。これは電子メールには当てはまらないと思う」(Ascher氏)
Mozilla Messagingのマーケティング担当ディレクターであるRafael Ebron氏は、Thunderbirdのユーザー数は現在、おそらく1000万人から2000万人の間だろうと述べた。同社によると、それは、全ユーザー数が3億人を超えるFirefoxには遠く及ばないという。
しかし、どちらのプロジェクトも、自分の実力以上の相手と競争できる。Ascher氏は、ThunderbirdでもRaindropでも、無料で手に入る代替品というだけで、ほかの製品やサービスに影響を及ぼすことができると考えている。
「Firefoxはその市場シェア以上の影響を人々に及ぼした。われわれが電子メールの世界に影響を及ぼし、全ユーザーの体験を向上させるために、われわれがすべての人の電子メールサーバを管理する必要はないと思う」(Ascher氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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