Raindropの未来については、確実な側面もあれば、そうでない側面もある。実際のソフトウェアの初版を同社がリリースする時期について語るのはまだ早い。しかし、1つだけ確定していることは、RaindropはMozillaが提供するサービスにはならないということだ。同ソフトウェアは、Mozilla以外の、例えばインターネットサービスプロバイダー(ISP)のサーバ上で稼働することになる。
Ascher氏は「世界のユーザー向けにメッセージングシステムをホスティングすることは、今のわれわれにとって不可能だ」と述べる。それでも、同社がRaindropを、PCベースのソフトウェアではなく、ウェブブラウザからアクセス可能なサーバベース技術として開発することを選んだという事実は意味深い。
より長期的に、例えば2015年までに、Raindropが人々のお気に入りのメッセージングインターフェースとして、Thunderbirdに取って換わっている可能性はあるだろうか。その可能性はある。
「Raindropに移行する人もいれば、そうしない人もいるだろう。デスクトップソフトウェアには、まだ長きにわたってユーザーに利益をもたらす要素がたくさんあると思う」(Ascher氏)
進んでRaindropに協力するようすべての人を説得することは、困難かもしれない。Facebookのようなサイトは、人々の電子生活の中心的な位置を占めることを望んでおり、ユーザーのコンテンツの脇に広告を表示させたいと考えている。しかしAscher氏は、いずれそれらのサイトがRaindropに参画すると考えている。
「長期的には、オープンであることが勝利すると思う」と同氏は言う。
Raindropがなくても、Thunderbird 3はウェブと統合される。Thunderbird 3には、ウェブページ表示用に「Firefox」のエンジンが内蔵されている。この事実は、Thunderbird 3はウェブコンテンツを表示できるということを意味している。
この機能によって、Thunderbirdは、例えばYahooとGoogleのカレンダーをそれぞれ別のタブに表示するといったことができる。今日、それらのサービスと連携してできることはほとんどないが、連携機能を追加することは可能だとAscher氏は言う。同氏はまた、多数のアドオンが登場することで、Thunderbirdはよりクラウドに近づくと予測している。同氏は触れなかったが、RaindropもThunderbirdの一区画に追加することができるだろう。
Mozilla Messagingは、一風変わった組織構造の一部だ。当初は、非営利団体のMozilla Foundationが、「Netscape Communicator」の核となるオープンソースソフトウェアを管理していた。最終的に、そのソフトウェアはブラウザのFirefoxと電子メールソフトウェアのThunderbirdという2つの主要コンポーネントに分割された。
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