ケンコーコム、シンガポールに子会社--日本向けに一般用医薬品のネット販売を開始

岩本有平(編集部)2009年10月26日 19時48分
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 ケンコーコムは10月26日、シンガポールに100%子会社「Kenko.com Singapore Pte. Ltd.(Kenko.com Singapore)」を設立し、日本国内および海外在留邦人向けのECサイト「Kenko.com Singapore」の運営を開始したことを発表した。

 Kenko.com Singaporeは9月7日の設立。資本金は1000万円で、ケンコーコムの100%子会社となる。Managing Directorにはケンコーコムのリテール事業本部リテール統括室長である朝倉大輔氏が就任するほか、現地採用のスタッフなど若干名が在籍する。

 Kenko.com Singaporeでは当初、国内の第1類および第2類のOTC医薬品(処方せんを必要としない一般用医薬品)および排卵日検査薬など2500点の商品をラインアップ。将来的には健康食品や化粧品なども取り扱う予定だ。決済は日本円のクレジットカードに対応しており、送料は8000円未満が一律で650円。8000円以上では無料となる。商品の価格はケンコーコムとほぼ同等だが、個人輸入の扱いになるため、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない。これらの詳細な注意は購入時に表示される。

 サイトはケンコーコムと連携。薬事法により第1類、第2類の医薬品をECで購入できないケンコーコムのユーザーに対しては、Kenko.com Singaporeについてのアナウンスをしていく。

ケンコーコム代表取締役社長の後藤玄利氏 ケンコーコム代表取締役社長の後藤玄利氏

 同日都内で開かれた会見で、ケンコーコム代表取締役社長の後藤玄利氏は、「健康のカテゴリに特化して日本からアジアに展開していきたいが、日本は(薬事法による)法規制が著しく閉鎖的。日本だけを拠点にしていると競争力が十分に保てない」と海外子会社設立の経緯について語る。

 後藤氏は薬事法により(1)健康食品や化粧品の効果効能に対する過度な広告表示規制(2)サプリメントなどの輸入販売規制(3)「対面の原則」による第3類医薬品以外の通信販売規制--という3つの規制があり、日本を拠点にした海外進出が難しいことを説明。そこで、物流インフラが整い、IT環境も充実し、英語や中国語など多言語に対応できる人材の豊富なシンガポールに現地法人を作ることで、アジア、ひいては世界進出の拠点にするとしている。

 既報のとおり、ケンコーコムは2009年6月より施行された改正薬事法で、第1類および2類の医薬品のネット販売が一部(離島在住者や同じ医薬品の継続購入に関しては2年間の経過措置がとられている)を除き禁止されたことについて、違憲違法だとして行政訴訟を起こしている。

 このため、会見では海外に拠点を持って第1類および第2類の医薬品を販売するのは「法の抜け道では?」という意見も出た。これに対して後藤氏は「世界進出は2000年にネット(販売)を始めた時から考えていた。特にここ数年アジア市場は伸びており、いかに足がかりをつかむかは重要」とコメント。さらに「改正薬事法などの影響で日本というマーケットはいびつな競争が始まっている。このままではアジアに出て行く力がなくなる」(後藤氏)と語り、同社の事業計画を前倒ししたプランであることを強調した。

 また法的な観点からは「あくまで現地法人の、ルールにのっとったビジネス」(後藤氏)と語り、日本限定ではなく、「アジアの1カ国」としてサービスを提供すると説明する。また、厚生労働省に対しても確認をとり、「日本の薬事法的には問題ないと(回答を)いただいている」とした。

 Kenko.com Singaporeでは、サイト開設にあわせてまず、日本国内を対象に日本語によるEコマース事業を展開。そして2009年度内にも海外在留邦人向けに日本語でのサービスを提供する予定。さらに2010年をめどに、英語や中国語版のサイトを用意し、アジア全域から世界をターゲットにしたビジネスを展開するとしている。

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