東京モーターショー 2009で、環境に優しいエネルギー技術の1つとして注目されている燃料電池技術。ダイハツ工業はプラチナを使わない燃料電池技術を開発し、コスト削減と扱いやすさの両立を狙っている。
燃料電池とは、化学反応によって燃料から電力を取り出す仕組み。水素を酸素と反応させて電力を起こす方法が使われることが多いが、電解質膜が強酸性のため、高い耐蝕性を持つプラチナ(白金)を触媒に使っている。このため、コストが高くなるという課題がある。
これに対しダイハツは水加ヒドラジン(ハイドラジン・ハイドレート:N2H4・H2O)というアンモニア系の物質を燃料とし、これを酸化させることで電力を取り出す仕組みを開発した。アニオン交換膜というアルカリ性の電解質膜を使うため、プラチナではなくニッケルやコバルトなどの低価格な金属を触媒にできるという。
ダイハツによると水加ヒドラジンは発泡剤や脱酸素材の材料として使われているといい、液体のため水素に比べて取り扱いも容易とのこと。また、燃料タンクの形状も比較的自由にできるため、燃料電池の機構をコンパクトにでき、軽自動車などの小型車にも搭載しやすくなるとのことだ。「燃料電池搭載車というと値段が高いというイメージがある。これをもっと身近なものにしていきたい」(説明員)
現状では触媒の耐久性などに課題があり、実用化にはまだしばらくかかる見通し。モーターショーの会場ではこの燃料電池を搭載したミニカーを走らせ、実際の動力として十分使えることをアピールしていた。
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