世界最大の携帯電話メーカーであるNokiaは、数々の製品でにぎわうネットブック市場参入の準備を進めている可能性が高い。
The Economic Timesによれば、Nokiaの最高経営責任者(CEO)であるOlli-Pekka Kallasvuo氏は現地時間8月19日、インドで開催されたプレスイベントに集まる報道陣に対して、「今後はPCと携帯電話の垣根がなくなっていくことになり、その融合すら進むことだろう」と語ったという。また、Kallasvuo氏は、Nokiaがこのコンバージェンスに多くのチャンスを見出しており、「どのような機会が開けることになるのかを見極めるため、ネットブック市場を注視しているところだ」と述べた。
Nokiaがコンピューティング分野への進出傾向を強めているかもしれないことは、それほど驚くべきニュースではないだろう。すでにNokiaは、「モバイルコンピュータ」との紹介を行って、スマートフォンの新モデル「N97」のマーケティングを手がけてきた。また、これまでNokiaは、モバイルインターネットデバイスとして、Nシリーズのタブレットも販売してきている。
アーリーアダプターやガジェット好みのユーザー向けのこうした製品群は、一般的に300〜400ドルの価格帯から販売される。従来の携帯電話とは一線を画し、QWERTY配列のキーパッドが搭載されていたり、Wi-FiやBluetooth接続の携帯電話を通じてインターネットにアクセスするような仕様を備えていたりすることが多い。
ネットブックは、モバイルインターネットデバイスよりも幅広いユーザー層に訴える製品となり、Nokiaにとっては事業の多角化を期待できそうだ。かつてのネットブックは、GmailのようなクラウドベースのサービスやFacebookのようなソーシャルネットワーキングサービス(SNS)にアクセスするための「コンパニオンデバイス」としての位置づけしかなかったものの、いまや十分にコンピュータとしても成長を遂げ、幅広く使われるようになってきている。
およそ299ドルという低価格から販売される魅力が、ネットブック人気を支えてきた。北米では2008年中に約1600万台のネットブックが販売された。その多くに馴染みのあるWindows XPがOSとして搭載されてきたため、すでに大半のユーザーの満足度は高いものとなっている。
Nokiaは、ネットブック人気にあやかって、売り上げを伸ばしていきたいと考えているようだ。
モバイル分野への消費者のシフトが強まることは明白であり、より高速通信を実現する4Gワイヤレスネットワークの整備を通信キャリアが進めるにつれて、モバイル通信への需要も高まっていきそうである。さらに、まもなくNokiaや他の携帯電話メーカーは、コンピュータメーカーが携帯電話市場に進出してくることで、厳しい競争に直面せざるを得なくなるだろう。ノートPCメーカーのAcerは、すでにスマートフォンの開発を正式に発表している。Dellも携帯電話の開発に取り組んでいるという報道が伝えられてきた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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