IDCは米国時間8月6日、Intelの「Atom」チップの需要拡大に支えられる形で、2009年第2四半期のPCマイクロプロセッサ出荷個数が前期比で10.1%増を記録したことを明らかにした。
この増加は、2009年第1四半期に記録した、2008年第4四半期と比較して10.9%の減少という状況とは対照的である。しかしながら、2008年第2四半期と比較するならば、2009年第2四半期のPCマイクロプロセッサ出荷個数は7%の減少となった。
2009年第1四半期から第2四半期にかけての増加は、主にPCメーカーの在庫補充によるもので、PCの消費需要がもたらしたものではないと、IDCは分析している。
また、Atomプロセッサが果たした役割も大きかった。Atomは多くのネットブックで採用されているが、2009年第2四半期中の出荷個数は、前期比で24%増となった。Atomは、同四半期中のIntelのプロセッサ出荷個数の約25%を占め、同社モバイルプロセッサの売り上げの8.1%を占めるに至ったと、IDCは見積もっている。
全体としては、Intelの2009年第2四半期におけるPCマイクロプロセッサ出荷個数が、前期比で12.5%増を記録したのに対して、AMDの出荷個数は1.8%増となったに過ぎない。
IDCの半導体部門パーソナルコンピューティングリサーチ担当ディレクターを務めるShane Rau氏は、「Intelの売り上げにアジア太平洋地域が占める割合は、2009年第1四半期の51%から、2009年第2四半期は55%まで増加した。この事実は、Intelの全体的なプロセッサ出荷個数が大幅な『回復』傾向(とりわけAtomの出荷個数に顕著に認められる)にある一方で、AMDの全体的な出荷個数が伸びていないことと兼ね合わせて考えると、2009年第2四半期の時点でも、まだPCプロセッサ市場は回復を遂げたわけではないことを示唆している」と語った。
市場全体の売上高は、2009年第2四半期に前期比で7.9%の増加となったものの、前年同期比では15.3%の減少となっている。
Atomチップの需要と在庫補充が、2009年第2四半期の成長を演出することになったが、依然としてプロセッサ事業の勢いは不十分であるとの分析を、IDCは示している。また、決定的な市場の回復は、いまだに見えてこない。
Rau氏は「この先に目を向けるならば、すでにODM(original design manufacturer)およびOEM(original equipment manufacturer)が在庫補充を済ませてしまっているため、再び在庫の補充による市場の活性化を望むことはできない。その代わりに、今後は実際の末端需要がどれほどであるかに依存することとなり、一般的に新学年のスタート時期にはPCの購入が増加し、そのまま年の後半は好調な業績を期待できるといった楽観的な見方を安易に持つことがないように注意しなければならない。そのような期待を抱くことはできないだろう」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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