マーケティングの最前線から見る「クチコミ」と「グリーンIT」

 BusinessBlog&SNSWorld 2009、Next Advertising&Marketing 2009、3Dインターネット・ビジネスフォーラムの3イベントが7月16日から17日にかけて同時に開催された。17日には3イベント合同のプログラムとして、博報堂の土屋佳幸氏が「クチコミのこれから」について、千田光昭氏が「Next=マーケティングから3Dインターネットまで 地球環境との新しい関係」について講演した。

博報堂 MD開発推進局 クリエイティブ企画チーム クリエイティブディレクター 土屋佳幸氏(左)、博報堂 エンゲージメントビジネス局 インタラクティブクリエイティブチーム インタラクティブプロデューサー 兼 博報堂DYグループ 3Dインターネットラボ チーフクリエイティブプロデューサー千田光昭氏博報堂 MD開発推進局 クリエイティブ企画チーム クリエイティブディレクター 土屋佳幸氏(左)、博報堂 エンゲージメントビジネス局 インタラクティブクリエイティブチーム インタラクティブプロデューサー 兼 博報堂DYグループ 3Dインターネットラボ チーフクリエイティブプロデューサー千田光昭氏

 博報堂 MD開発推進局のクリエイティブディレクターである土屋氏は、クチコミの定義として「残るもの」「コトバ化」「第三者が発信する企業情報の一切」を挙げた。企業がクチコミを活用したキャンペーンを展開する場合、広告代理店は情報の網羅性とともに、不要な情報を捨てることが重要だという。そして、クチコミの現場はブログであるとして、その活用例を紹介した。

 たとえば、ビールの新商品の発売を前にクチコミで話題を盛り上げるために「飲み比べモニター」キャンペーンを実施する場合、まずインターネット上にキャンペーン応募用のブログウィジェットを放流し、ブロガーに貼り付けてもらう。ウィジェットはブロガーの間で伝播し、その様子をネットクチコミ分析レポート「buzzreport」でチェックすると、影響力のあるブロガーを発見できる。このようなブロガーを当選者とすることでクチコミを加速できるという。

 当選者が決まったら、情報を集約した「まとめページ」を公開し、対話してもらうことで情報の伝播力を高めていく。これには、ブログを横断して画像と文字を1枚に集約できる「buzzportal」を使用する。

 土屋氏は、クチコミを活用した今後のマーケティングでは、スポンサーは商品を体験できる場を作ること、商品について対話する場を作ることが必須となり、それぞれの場はウェブ上に構築されるべきだという。その場への誘導および出力はクロスメディアを活用するため、今後はウェブが主となり、マスが従となっていくという。

 博報堂 エンゲージメントビジネス局のインタラクティブプロデューサー兼、博報堂DYグループ 3Dインターネットラボのチーフクリエイティブプロデューサーである千田氏による講演「Next=マーケティングから3Dインターネットまで 地球環境との新しい関係」では、現状のグリーンITはすべてハードウェアでのアプローチであることから、ソフト(しくみ)的なアプローチを考察するとした。

 千田氏はソフト的アプローチと思われるウェブサイトやウェブサービスを紹介した。「gooホームPROJECT」は無料で登録することで参加するプロジェクトで、30人ごとに沖縄の海にサンゴを一本植えられるというもの。また環境省の「いきものみっけ」は、参加者が携帯電話カメラで撮影した生き物を投稿し、情報を共有するとともにデータを集めるというもの。

 さらに、国連大学とYouTubeのコラボによる「ThinkGreen」では、さまざまな環境映像を見られるようになっている。このほか、仮想空間で体験できるシャスパの「OpenSim」や広島工業大学のバーチャルリアリティ、IBMの「PowerUp」や「SIMCITY SOCIETIES」、子供向けの「eekoworld」など、環境問題をゲームとして楽しめるコンテンツ、さらにはGoogleMapと連携して環境問題の現場をチェックできるUNEP(国連環境計画)のサイトなどが紹介された。

 これらのソフトウェア型アプローチは、「呼びかけ型」「事例紹介型」「ドネーション型」「シミュレーション型」「教育型」「現状報告型」「検証型」に分類できるという。千田氏によれば、ネット上のコミュニケーションの場にはパワフルなエネルギーがあり、それを支える仮想空間人口は世界で5億7900万人いるという。このパワーを地球環境問題に転用できないかと千田氏は提案した。たとえば、仮想空間でのアバターの運動エネルギーを環境問題のために利用する、オンラインゲームへの情熱をエネルギーに変更するなどの案を紹介した。

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