多くの人が、パーソナルコンピュータの中枢はOSからブラウザに切り替わろうとしていると思っている。
「Windows」が時代遅れになっていくという考え方は、当然ながら、Microsoftでは一般的に支持されないものだ。とは言うものの、少なくともMicrosoft社内の数名は、ウェブブラウザはもっとOSに近い働きをし始める必要があると主張している。
MicrosoftのリサーチャーHelen Wang氏は「現在のブラウザの方針には、あまり安全でないところがある」と言う。
Wang氏は2001年にカリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得し、それ以来Microsoftに勤めている。同氏は、ウェブブラウザは、申請が届くたびにゴム印を押すだけの書類整理係に甘んじるべきではないと主張する。ブラウザはむしろ、交通整理をする警官のような役割を果たして、物事を滞りなく進行させ、コンピュータのリソースが公平に割り当てられるようにするべきだという。
つまりWang氏は、ブラウザはもっと、Windowsが動作しているようなやり方で動作し、さまざまなウェブアプリケーションが、同一サイト内のものでさえ、互いから保護されるようにする必要があると述べている。そこでWang氏と同氏のチームは、これを実現する「Gazelle」と名付けられたプロトタイプを考案した。
MicrosoftがGazelleの概要を最初に発表したのは2009年に入ってからだが、その考えの詳細を明らかにし始めたのは最近のことだ。Wang氏は8月に行われるUSENIX Security SymposiumでGazelleについての論文を発表する予定だ。またMicrosoftは6月、自社のウェブサイトにGazelleのより詳しい内容を説明する記事を掲載した。
Wang氏はWindowsとの決別を提案しようとしているわけではない。実際にはGazelleはWindowsに依存しており、単に、コンピュータのリソースへアクセスしようとするウェブページに対する仲介者としての働きをするものだと同氏は言う。
「われわれは実際、数十年に及ぶOSの経験を活用し、ウェブとブラウザの環境にこれを応用しようとしている」(Wang氏)
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