株式市場の低迷や実体経済の落ち込みを受けて、大手証券系などのベンチャーキャピタルの多くがアーリーステージのITベンチャーへの投資を手控えている。そうした中、独立系のグローバル・ブレインは積極的な投資活動を続けている。
現状を「100年に1度の投資の好機」ととらえ、有望なベンチャーを選別、徹底して経営に関与して高い投資リターンを狙っている。一方で、社会起業家の育成支援など活動の幅も広げている。同社の投資方針や戦略について、代表取締役社長の百合本安彦氏とアライアンス担当の熊倉次郎氏に聞いた。
百合本:大手ベンチャーキャピタルと違う大きな特徴がありまして、スタートアップやアーリーステージにフォーカスしています。
ここは非常にリスクの高い分野だと思われがちなのですが、基本的には、厳選投資でリスクヘッジをしています。広く浅く投資するのではなくて、事業分野であるとか、市場の成長性とか、その会社の強みであるとか、経営者の資質とか、起業家精神があるとかないとか、道徳性はあるのかとか。1カ月半くらいかけて徹底的に検討します。大体100社検討して1社投資する感覚です。年間に500から600社検討して投資件数は1カ月もしくは1カ月半に1社くらいですね。
投資をした瞬間から徹底的に支援します。主担当と副担当を決め、成長ステージに合わせて支援内容を検討します。初期の段階ですと、まずビジネスモデル自体の構築をご支援します。そのあと、投資をしっぱなしにするのではなく、ある程度立ち上がってくると営業戦略の立案であるとか、アライアンス先の探索、人材の採用支援なども行います。公開時期が近づいてくると、株式新規公開(IPO)のプロセスも支援します。監査役や最高財務責任者(CFO)はわれわれが紹介して採用していただいています。
スタートアップ直後の会社などでは経理や総務部門が整っていないので、アウトソーシングを受けることもあります。グローバル・ブレイン・ヒューマン・キャピタルという子会社では人材紹介もやっています。こういったことをとにかくデイリーで続け、徹底的に経営に関与するやり方をしています。
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