医薬品ネット販売規制は「違憲違法」--ケンコーコムらが改正薬事法省令めぐり国を提訴 - (page 2)

岩本有平(編集部)2009年05月25日 20時00分

 阿部氏も今回の省令が改正薬事法で定められた範囲を超えた規定であり「違憲違法」と指摘。あわせて本来薬害被害の防止などが目的の規制であれば、販売業者に医薬品の情報提供を義務付けすることで十分達成できるため、ネット販売の禁止は過大な規制であり、憲法22条に違反するとした。

 改正薬事法では登録販売者を用意するという努力目標のもと、コンビニエンスストアでも第2類および第3類の医薬品が販売可能になる。こういった規制緩和がある一方でネット販売が第3類に限定されることになる。これについては「不公平。この省令が『安全』を基準にしたものではないことを露呈している」と語った。さらに対面販売でもコミュニケーションが不十分であることもあり、「ネット販売で情報提供をきっちりできれば、お客の状況によって安全で自由なほうを選べる」としてむしろネット販売を積極的に認めるべきだとした。

 ウェルネット代表取締役の尾藤昌道氏は「薬剤師として改正薬事法には賛成」と前置きした上で「今回の薬事法ではネット販売は規制していないが、省令でネット販売を規制するというおかしなことが起こっている」と語る。

 尾藤氏は自社で最も売上げのある商品が佐藤製薬のドリンク剤「ユンケル」シリーズだとした上で「米国を含めて医薬品ではないが第2類となり販売できない」と説明。その次に売上げている佐藤製薬の歯肉炎・歯ソーノーロー治療薬「アセス」シリーズについても「世界35カ国で販売されており、(用法としては歯磨き粉同様に使用するため)飲むわけでもないのに第2類だ」とし「何とか納得いく説明が欲しいが、厚生労働省は『対面安全』と語るのみ。何の説明もなく『我々の言うことに従え』というのでは従えない」と息を詰まらせつつ語った。

 ケンコーコムの後藤氏は国内の医療品ネット販売事業者によるNPO団体「日本オンラインドラッグ協会」の理事を務めており、同NPOでも改正省令案に対して反対のパブリックコメントを提出している。今回、同NPOでの訴訟ではなく2社による訴訟となった点については、「(実店舗を持つ)薬店として、第1類および2類の販売を認められる事業者としての訴訟だったため」(後藤氏)としている。また、同様の理由から、これまで省令に対する意見で歩調を合わせてきた楽天やヤフーも訴訟に参加しない。「ヤフーや楽天はモールの運営事業者であり、(医薬品販売の)当事者としての権利が存在しないため」(後藤氏)

 今回の訴訟の行方について阿部氏は、早期解決を望むとしながら「1年はかかる。国は引き延ばし作戦にかかってくると思う」とコメント。また、6月以降のネット販売について後藤氏は「改正省令案がまだ公布されていないが」とした上で、「悪法でも法は法。それ(省令)にのっとった形で販売を行う」と語った。同時に訴訟と並行して厚生労働省や舛添要一厚生労働大臣らにネット販売の規制緩和に向け働きかけていく予定だ。

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