銀行への高い手数料と膨大な量の簿記作業。The Pirate Bay訴訟の原告側の弁護士の1人であるPeter Danowsky氏は、このような苦境に直面しようとしている。これは、同氏の法律事務所の銀行口座を空にすることを目的としたある攻撃のせいである。
同訴訟で国際レコード産業連盟(International Federation of the Phonographic Industry:IFPI)とレコード会社数社側を代表していたDanowsky氏は今、ある種の報復計画のターゲットとなっているようだ。
同計画は、internetavgift.seというウェブサイトに出現し、すでに、「Distributed Denial of Dollars」の略である「DDo$」と名づけられている。複数のコンピュータから同時に大量の要求を発行することによりウェブサーバの機能を停止させるDDoS(分散型サービス拒否)攻撃をもじっている。
ターゲットとなっているのは、Nordea銀行のDanowsky氏の法律事務所の口座だ。internetavgift.seでは、その口座に1スウェーデンクローナ(約13セント)を送金するよう人々に呼びかけている。同サイトは参加者らに対し、支払内容として「purchase of media(メディア購入)」と記入するよう指示している。そして同計画は、Twitterやブログなどを通じて広まっている。
この計画によって、Danowsky氏の事務所の費用がかさむことになる可能性がある。少なくともそれが攻撃者らの望みだ。同銀行の規則(PDFファイル)によると、企業が1年間に無償で受領することのできる支払いは1000回までだという。それ以降は、1回の受領に対し1.7クローナ(約21セント)の手数料が生じる。
その上、法律によると、無償であれ有償であれすべての取引を、同法律事務所の帳簿に記載しなければならないという。つまり、膨大な人手が必要となる。
加えてDanowsky氏は、理論的には個々の支払いすべてに対し、返金しなければならないかもしれない。internetavgift.seによると、スウェーデンの法律では、誤った支払いに対し、直ちに返金することが求められており、送金したすべての人々が後に返金を求める可能性があるのだ。同サイトでは参加者に返金を求めるよう指示しており、それによっておそらくDanowsky氏の事務所の作業はさらに増大する。
同ウェブサイトは、そのお金が、4人の被告が裁判で賠償金として支払うよう命じられた380万ドルとは何の関係もないことも指摘している。そのお金は、インターネットを使用する人すべてが支払うべき新しい料金であると同サイトは述べている。「internetavgift」とはインターネット使用料を意味する。ただしそのような料金は存在しない。
internetavgift.seのウェブサイトのデザインが、Radiotjanstのウェブサイトのデザインをまねているのは、恐らく偶然ではないだろう。Radiotjanstは、スウェーデンの国営テレビの受信料を集金する企業である。RadiotjanstはThe Pirate Bay訴訟には関係していない。
いわゆるDDo$計画の背後にいる人物は明らかになっていないが、internetavgift.seのドメイン名はsvarth3024-00001によって登録されている。これは、4人の被告のうちの1人であるGottfrid Svartholm Warg氏となにか関連しているのかもしれないことを示している。
たとえあったとしても、いったいどれほどの人々がこの指示に従って同社に送金したのか不明である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス