映像を立体(3D)で表現する動きが世界中で起きている。米DreamWorks Animationが3Dアニメの制作に取り組んでいるほか、日本でもauから3D映像を見られる携帯電話「Woooケータイ H001」が発売された。英国では有料衛星放送局BskyBが3D番組を放送し、注目を集めている。
4月18日から23日まで、米国ラスベガスで開催されたNAB Show 2009(National Asscoiation of Broadcasters)では、BskyBの戦略製品開発担当ディレクター、Gerry O’Sulliban氏が、同社が展開する「Delivering 3D to the home」(3D映像を家庭に届ける)戦略について講演した。
BskyBの3Dサービスは、同社のHDサービス「Sky+」加入者であれば、新たな機械を購入しなくても楽しめる。また、O’Sulliban氏は、既存のHDインフラを利用することで、放送局側にも今までの投資を無駄にしないというメリットがあると語る。なお、BskyBの有料契約数は2009年1月末時点で924万件だ。
BskyB初の3D番組は、2008年5月24日にマンチェスターで開かれたボクシングの試合の中継だった。「2機のHDカメラで撮影し、その映像を合体する編集作業や衛星への送信など、全てのワークフローは既存のHD環境を用いた。3D放送のために特別なことはしていない」(Sulliban氏)という。
その後、BskyBは、2008年11月にサッカーの欧州チャンピオンズリーグ、スポーツバラエティ番組、2009年4月にはアビーロードスタジオからの音楽ライブ、英国国立バレー団の公演を3Dで撮影、放送した。会場では、それぞれの映像が流された。
O’Sulliban氏は、こうした試験サービスからいろいろなことを学んでいると語る。たとえば3D映像では、「画面に立体感を持たせるため、ローアングルからの撮影が適している」といい、カット数を通常よりも少なく撮影するなどの工夫を重ねているという。
また、3Dで放送するコンテンツも、映画、スポーツ、音楽以外に何があるのかを追及していきたいと述べた。3Dによって「家庭のリビングルームがアリーナ席になり、エモーショナルな体験を提供できる」とSulliban氏は魅力を語り、ほかのコンテンツへの展開へ意欲を見せる。
3Dの発展には、家電メーカー、技術業界、放送局の3者が協力する必要があるというのがSulliban氏の考えだ。特に、放送局は「3Dは編集、撮影などの既存ノウハウを再構築する覚悟があるのか自問自答しなければならない。シンプルに考えていくことが重要だ」(Sulliban氏)とのことだ。
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