UPDATE サンフランシスコ発--景気の悪化を受けて、さまざまなプロジェクトの開発を終了したGoogleは、革新が鈍化しているのではないかという外部からの懸念を払拭しようと躍起だ。そんなGoogleが2つの新しいプロジェクトと、そのほかのプロジェクトの存在を人々に知ってもらうために刷新されたGoogle Labsサイトを公開した。
2つの新プロジェクトの1つである「News Timeline」は、新聞やWikipediaなどのソースから収集した情報をスライド可能な画面に時系列順に並べることで、ユーザーがGoogleの視点から歴史を閲覧できるようにする機能。もう1つの新プロジェクト「Similar Images」は、ユーザーが発見した画像によく似た画像を検索できる機能である。
Googleの主な狙いは、より多くの人に同社の実験的なプロジェクトを試してもらうことだ。同社の消費者向け技術の製品管理担当部長であるR.J. Pittman氏によると、「できるだけ早い時期にユーザーに関わってもらうことで、製品を成功に導く」ことを目的にしているという。
Pittman氏によると、Googleは通常、同社が完成品と判断した製品を公開することよりも、フィードバックを迅速に集め、それに従って軌道修正することを重視する。たとえ失敗に終わった製品や機能を撤収するリスクが伴うとしても、そうした姿勢は変わらないという。
「早く、そして頻繁にローンチする」とPittman氏は述べる。「Googleには、未公開の興味深いプロジェクトがまだまだある」
Google App Engineを使って構築された新しいラボサイトでは、Gmail Labsを含むさまざまなラボプロジェクトが統合されており、人々がプロジェクトに点数をつけたり、コメントしたりできるようになっている。
「わたしたちは、Googleが多くの新しいプロジェクトに取り組んでいることを、人々に知ってもらおうとしているのだ」とPittman氏は話す。「わたしたちが製品に対して現実的な認識を持ち、環境に適応するためには、この回転を早めることが必要である」(Pittman氏)
News Timelineプロジェクトの生みの親は、Apple Macintoshソフトウェアの初期の設計者の1人であり、シリコンバレーの伝説的存在でもあるAndy Herzfeld氏。彼は、クリック操作によって「年」「月」「週」「日」の中から時間単位を選択でき、ダブルクリックによって「10年」単位への変更も可能なタイムラインを持つ、ズーム操作対応のユーザーインターフェースに大きな関心を抱くようになったという。
「ユーザーは、興味のあるのテーマが進展していく過程を見ることができる」とHertzfeld氏は述べ、News Timelineは1400年代までさかのぼれる、と付け加えた。
このインターフェースでは、ユーザーは新聞や音楽、映画、賞、ブログなど、自分がどのような情報を求めているのかを選択する必要がある。一部のコンテンツは、WikipediaやFreebaseプロジェクトを情報源としており、日付のような記述データで構築されたウェブ上の情報を整理している。そのほかのコンテンツは、Associated Pressのニュース写真やTime Magazineの表紙、Googleと提携しているさまざまな新聞社のアーカイブなど、企業から使用ライセンスを得たものだ。
検索対象となる分野を選択する操作は、検索語の文脈をもとにユーザーが求めている情報の種類を推測するGoogleの常套手段とは異なるものだ。Herzfeld氏によると、Googleはキーワードによって検索結果が変わるといういつものアプローチを試
みたものの、同プロジェクトの初期段階で問題が発生したという。Hertzfeld氏によると、Googleは少なくとも現時点では、Timelineプロジェクトから収益を上げる計画はないという。「わたしたちは収益性について、文字通り何も考えたことがない。まずはTimelineを気に入ってくれるユーザーベースを構築することが、私たちの目標だ」と彼は述べた。
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