クラウドコンピューティング分野はまだ初期の段階かもしれないが、早くも戦いが勃発している。
複数のウェブサービスプロバイダからなるグループ(報道によるとIBMも含まれるという)は米国時間3月30日、オープンなクラウドコンピューティングに向けて多くの原則を定めた「マニフェスト」を公開する予定だ。ただし、この分野における最大手企業2社は、署名しないことを明言している。
Microsoftは3月26日、ブログへの投稿でその趣意を表明し、一方Amazon.comも3月27日、文書には署名しないことを明らかにした。
Amazonは声明の中で、次のように述べている。「当社は、標準や慣行に関する他の構想と同様に、今回の文書も検討するつもりだ。ウェブサービスにおいては、長年にわたりオープン性や標準に関する構想が話し合われてきた。われわれは、クラウドコンピューティング空間において標準が進化し続けるだろうと確信している。だが、クラウドの利用に本格的に取り組んでいる顧客から当社がこれまで聞いた意見は、オープン性や顧客にとっての柔軟性を示す最善の方法は、プロバイダ側が顧客に実際に提供し実現するものによって規定される、というものだ」
Amazonは、過去3年間で、同社のウェブサービスを異なるOSやプログラミング言語でも利用できるようにしてきたことを指摘した。
一方のMicrosoftは、マニフェストの中には賛同する点も一部あるが、ほかの部分については曖昧すぎるか、または同社の関心を反映するものではないと述べた。Microsoftはまた、2009年3月第3週の週末に文書を提示されたばかりで、変更を加えることも許されず、署名するかどうかを決めるのに48時間しか与えられなかったことについても批判した。
MicrosoftのSteven Martin氏は、ブログ投稿の中で次のように述べている。「われわれは正直なところ、『(Open)Cloud Manifesto』の策定にオープン性が欠けていることに失望した。われわれは直接の経験を通して学んできたというのに、聞いたところでは、文書の改善を議論する意思はなく、ましてや改善を実施する気もないという。当社はつい先日、非公式に文書の写しを見せられ、機密事項だと警告され、改変や追加をせず『現状のままで』署名しなければならないと告げられた」
「『オープンな』プロセスを通じて(クラウドのユーザーも含む)主な利害関係者の間でコンセンサスを形成するのではなく、一企業またはごく一部の企業がクラウドコンピューティングの進化を支配したがっているように見える」(Martin氏)
同文書はまだ公開されていないが、提案グループに参加するEnomalyのReuven Cohen氏は、3月30日に公開される予定だと述べた。同氏はブログ投稿の中で、「複数の大手テクノロジ企業」も含め、少なくとも12社が同文書に署名するだろうと示唆している。
「このマニフェストは、アプリケーションコードやライセンシングについてではなく、インターネットの基盤である基本原則、すなわちすべての人が利用できるオープンプラットフォームについて言及している。また、世界中のクラウドコミュニティに向けて、オープンなクラウドの原則への関与と支持を呼びかけるものだ」(Cohen氏)
Cohen氏はまた、その後の投稿で、Microsoftがマニフェストを拒否することで注目が集まったとして、同社に感謝している。
「Microsoftが少し動くだけで、クラウドの相互運用性に関するわれわれの取り組みに対し、われわれがこれまでに行った取り組みをすべて合わせたものよりも高い注目が集まった」(Cohen氏)
マニフェスト自体に関して、内容を見るには3月30日まで待つ必要があるが、Cohen氏のブログやこのサイトでは、マニフェストの方向性に関していくらかの手がかりが得られる。
3月27日13時30分更新:マニフェストは、CNET Newsが考えていたよりもさらにオープンなものであることが分かった。われわれはここで文書がオンライン公開されているのを見つけた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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