Googleでビジュアルデザインの責任者を務めていたDouglas Bowman氏が退職する。同社ではウェブページの詳細なパフォーマンスデータが重視されており、こうした状況が一因となっているようだ。
同氏が退職について複雑な思いでいるのは明らかだが、好ましからざる点の指摘に遠慮はない。Bowman氏は米国時間3月20日付けのブログ投稿で次のように述べている。
技術者が溢れている企業では、問題を解決するため工学技術を頼りにする。問題を単純で論理的なものに還元し、主観をすべて取り去ってデータだけを見る。やがて、データがあらゆる問題解決を支えるようになり、企業を麻痺させ、斬新なデザインの決定を妨げる。
そう、Googleでは2種類の青色のいずれかで決めかねたら41の中間色をテストして最もパフォーマンスのよいものを選ぶというのは事実なのだ。先日、境界線の幅を3ピクセル、4ピクセル、5ピクセルのいずれにするかが問題になったとき、自分の意見を証明するよう求められた。このような環境で仕事をすることはできない。そうした些細なデザインの決定を論じるのにはもううんざりだ。
ここで出会った信じられないほ賢く有能な人たちと働けないことを寂しいと思うことはあるだろう。しかし、データの剣で当否を分かつようなデザイン主義を懐かしく思うことはない。
Bowman氏はまた、Googleにいるデザイナーたちは古典的なデザインではなくコンピュータ科学や、人間とコンピュータの相互作用を基礎としていて、また社内序列でデザイナーの地位が高くないことも嘆いている。
Googleで検索製品および利便性向上担当バイスプレジデントを務めるMarissa Mayer氏は、非常に高い地位にあり、デザインをとても重視している。しかし、同氏の哲学がいかにして遺恨になりえるかは想像に難くない。Mayer氏は2008年の講演でデザインについて次のように述べている。「一般にウェブでは、(サイトの制作は)芸術よりも設計の要素がはるかに大きい。(中略)差が小さい場合でも正しいものを数学的に選択できる」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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